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天狐あやかし秘譚
第15章 進退両難(しんたいりょうなん)
警察署で赤城という刑事が言っていたことを思い出す。

『彼女らは自殺の兆候こそなかったが、ある人は人に騙され、ある人は彼氏に振られ、また別の人は出世競争に負け、と何かしら人生のつらい事柄に直面していた。その後に死んでる。』

『例えば、田島香澄という女性が亡くなったのは、結婚詐欺にあって数百万の借金を負った直後でした。友人や家族からは『家族とも話して借金の返済の目処も立っていた。死ぬはずがない』と言われていたんです。ところが、ある日、唐突に自宅近くのマンションの屋上から身を投げて死んだ。』

つらい目にあった女性が死んで女怪になる・・・。
私も他人事ではない。騙されて、お金をとられて、借金まで背負う羽目になって・・・。私だって女怪になってもおかしくなかった。

じゃあ、彼女たちと私は何が違ったのだろう。

瀬良が言うには、女怪が発生すると、同じような身の上の者を引き寄せ、死なせようとするのだという。女怪の誘惑に負けて死んだものは、やはり女怪になる。
そうして、どんどんその数を増やすのだそうだ。

だとすると、私と女怪たちの違いは、たまたま私が出会ったのがダリであり、彼女らは女怪に出会ってしまった、という、偶然に過ぎないのかもしれない。

そして、一度死して女怪になってしまうと、通常の霊体に戻ることはないのだという。彼女らは人が死して行く世界、常世には行かれない。妖怪として調伏、つまりは消滅させるほかないのだそうだ。

生きている時にひどい目にあって、死んだら消滅するしかない・・・。
そんなの、酷すぎる。

そんな悪夢の連鎖が起きないようにするには、今発生している女怪を全て調伏するしかないのだ。そのために、土御門とダリはあの結界の中に入っていった。

ダリ・・・お願い。これ以上、悲しい女怪を増やさないようにして。
そして、まだ女怪になりきっていない、河西さんを助けて・・・。

結界の中にいるダリに向けて、私は胸の内で祈っていた。
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