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天狐あやかし秘譚
第15章 進退両難(しんたいりょうなん)
「だーかーらー・・・・邪魔しないでぇえええええ!」
河西が天井を仰ぎ、ガバっと口を開けた。口の中から黒々とした何かが吐き出される。それは中空で渦を巻き、空間に穴を穿った。

「なんや!?」
土御門も見たことがないもの。ただ、それが今まで体験したことのない妖気をはらんだものだということだけは肌で感じとった。

あれが妖魅だとしたら、甲種・・・の枠に収まらない!

「鬼道を開いたな・・・」
横で、ダリがポツリと言う。その言葉に土御門は目を見開く。
何?なんやて?お前、今なんて言うた!

冷や汗が、背中を伝う。

鬼道言うたら、地獄の蓋開いたようなもんやないか・・・。
放っとけば、あの穴からいくらでも怪異が湧いてくる。人が、対処できるレベルを超えている。

そうか、なんでこんなによーさん女怪がおったのか、やっとわかった。あの河西とかいう女、どういうわけか胎内に鬼道を宿してたんや。やから、無制限に仲間を呼び集め、殖やすことができたんや・・・。

確信が持てた・・・順序はともかく、こいつが『始まりの女怪』だ!

そして今、河西佳苗は胎内に納めていた鬼道を外に出し、開いたのだ。

このままじゃまずい!

「天狐!抑えるぞ!」
とにかく、開ききらない内に最大呪力で抑え込む!

将軍剣を顔の前に掲げるように構え、重心を落とし、身体を半身にする。霞の構えと呼ばれる構えだ。
「天地開闢 四神天帝を奉る 霊光、星辰、日形、月形、極みて退けよ
 東方青帝土公、南方赤帝土公、西方白帝土公、北方黒帝土公、赤門より再拝せよ」
将軍剣に光が集中する。

同時にダリが右手を伸ばし槍を召喚する。土御門が横目にチラと見る。あれが天狐の用いている武器。御九里から聞いてはいた。あれこそ、この日本開闢の際、伊邪那岐尊が天地を開くのに用いた、間違いなく世界で最強の破邪の槍。

ー天魔反戈(あまのかえしのほこ)

天狐も槍を中段に構え、呪言を奏上する。
「久方の 光清けし 月を読めやも
 常世たち せかるる岩に 天離かりせよ」 
槍の穂先から青い月明かりに似た光があふれ、周囲の空間を制圧していく。
 
土御門が最後の呪言を唱えた。
「霊光剣戟 急急如律令!」
将軍剣から光が一直線に暗い洞に向かって伸びる。
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