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天狐あやかし秘譚
第16章 往事茫茫(おうじぼうぼう)
☆☆☆
暗い・・・。てっきり中はあのライブラリーなのかと思いきや、そうではなかった。
ただ、ただ暗いなにか一本道のようなところだった。目は全く効かないが、不思議なことに行くべき方向はわかる。

こっち?

わずかに光がある方向・・・。私はそちらに進んでいった。
光が次第に大きくなり、それがこの暗がりの出口だということを悟った。

外に出る。月光が冴え冴えと照らす清浄な空気が満ちた空間だった。一瞬月光が目に刺さるように感じ、目を眇めるが、すぐに慣れ、周囲の様子が分かってきた。

家?というか、御殿?

満天の星と大きな月影の下、目の前に大きな家があった。過去の知識を総動員して考えると、どうやら平安時代の貴族が住んでいた寝殿造りと言われていた住居のように見える。

これだけの広大な家なのに、人の気配がない。ちょうど、私は深い森を抜け、その立派な御殿の裏口から入ったような格好だ。

寝殿造りのおそらく対屋と呼ばれる辺りに私はいたのだと思う。そこで初めて人の気配を感じた。正確には、喘ぎ声が聞こえた。

「ふわ・・・ああ・・・ん」

ここがどういう世界かわからないが、おそらく平安時代そのものか、平安の世を模した空間なのだろが、喘ぎ声は共通だ。何をしているのかが想像できてしまう。

誰か女性が、男性に抱かれている?

ダリを探さねばならないのだが、声に興味が出てしまった。無視することもできず、対屋を覗ける位置まで移動する。

これを、昔の人は隙見とでも言ったのだろうか?

寝殿造りの建物には壁が殆どない。季節はおそらく初夏くらいなのだろう。なので、御簾や几帳も多く立っていない。中が・・・、いたしている様がよく見えた。

一人は女性、一人は・・・

ダリ!?

間違いない。狐耳、ふっさりしっぽ、抜けるような白い肌のダリが女性と絡み合うように交わっていた。女性の顔はよく見えない。・・・誰!?誰なの?
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