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天狐あやかし秘譚
第16章 往事茫茫(おうじぼうぼう)
心臓がドキドキした。見てはいけないものを見ているような気がしたが、目を離すことができない。ダリの太い陰茎が女性のアソコにぬるりと挿入され、女性がのけぞって喜悦の声を上げる。

「ああ!・・・ダリ様・・・ダリ様ぁ!」
ダリが女性の身体にのしかかるようにして、腰をぐっと深く打ち付ける。
「はああ!・・・ああ!」
女性の方もしなやかな腕をダリの背に回し、愛おしむように撫で、離さないとばかりにきつく抱きしめる。ダリの程よく筋肉質な背中に、女性の細腕が絡みつく。

「ああ!そのまま・・・そのまま・・・」
ダリが腰を激しく打ち付けると、跳ねるように女性の体が痙攣する。
ごくり、と私は息を呑む。女性がダリから与えられている快感を思い、アソコがじゅんと湿り気を帯びるのを止められない。

ダリがぐっと深く腰を押し付けると、一段と大きな嬌声を女性が上げる。
ダリのお尻の部分が少しプルプルと震えているように見えた。

射精・・・してるの?
中に出したの?

興奮と嫉妬が胸の中で渦を巻く。胸が痛い。目がこれ以上ないくらい見開かれている。見たくないのに、動けない。ダリの吐息、上気した顔、愛おしそうに女性を見る目。

そんなの・・・見たくない・・・見たくないよ。

「ダリ様・・・ダリ様・・・」
女性が余裕のない声でダリの名を呼ぶ。そのまま口づけをし、態勢を変えた。女性が上にダリが下になる。いわゆる騎乗位という態勢だ。

女性がダリの上で腰をグラインドさせる。月明かりが青く指す部屋の中、柔らかく、淫らに腰を動かすさまはとても淫靡だった。そして、ふと女性が自らの長い髪の毛を払う。

え?!

顔・・・、私!?

そう、髪は平安女性よろしく、長く腰までの豊かな黒髪だったが、その顔は正しく鏡で見慣れた自分の顔だった。自分が、ダリと愉悦の表情を浮かべて交わるさまを見ている・・・。これ、何?何がおきてるの?
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