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天狐あやかし秘譚
第16章 往事茫茫(おうじぼうぼう)

「何があるかわからん。どんくらい時間かかるかもや。御九里、左前、少し下がって構えててや。」
土御門の指示に従い、御九里は太刀を、左前と呼ばれた白髪、白ひげの術者は鏡のようなものを構えた。
「では、異界の扉を開きますよ!設楽、補助を」
土門が入口の右、土門のお付きの設楽と呼ばれた男性陰陽師が左につき、それぞれ手のひらを灰色の空間に押し付ける。
「言問へば いふやの社 岩戸あけめや
根の国の むこふの闇に 夜といへばや」
左右の術者が触れている部分から灰色の空間が横に裂け始めた。ぐぐ・・・ぐぐ・・・っと大きく開き、まるで灰色の空間が瞳を開いたような形になる。
「行けます・・・お願いするのです!」
「たのむわ、綾音はん」
土門と、土御門に促され、私は一歩、その中に足を踏み入れた。
怖いけど・・・不安だけど・・・ダリを、助けなきゃいけない。
私の身体が全て闇に飲まれると、後ろでゆっくりと瞳が閉じるように異界と現し世の境が閉じた。
土御門の指示に従い、御九里は太刀を、左前と呼ばれた白髪、白ひげの術者は鏡のようなものを構えた。
「では、異界の扉を開きますよ!設楽、補助を」
土門が入口の右、土門のお付きの設楽と呼ばれた男性陰陽師が左につき、それぞれ手のひらを灰色の空間に押し付ける。
「言問へば いふやの社 岩戸あけめや
根の国の むこふの闇に 夜といへばや」
左右の術者が触れている部分から灰色の空間が横に裂け始めた。ぐぐ・・・ぐぐ・・・っと大きく開き、まるで灰色の空間が瞳を開いたような形になる。
「行けます・・・お願いするのです!」
「たのむわ、綾音はん」
土門と、土御門に促され、私は一歩、その中に足を踏み入れた。
怖いけど・・・不安だけど・・・ダリを、助けなきゃいけない。
私の身体が全て闇に飲まれると、後ろでゆっくりと瞳が閉じるように異界と現し世の境が閉じた。

