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天狐あやかし秘譚
第16章 往事茫茫(おうじぼうぼう)

『おいで・・・おいで・・・』
いつの間にか嫌な笑みの女の背後に数百、数千、数万の同じような女たちが見えた。皆、ギラギラとした目で私を見ていた。あそこは・・・温かいのだろうか・・・?
意識がモヤがかったように何も考えられない。あの集団に浸れば、一体感が、この上ないエクスタシーが待っているような気がしてならなかった。
気持ちいいんだ、きっと、あそこに堕ちれば、あそこに行けば、私は何の不安もない、何の恐怖もない、ただただ、安心だけがある。
行きたい・・・行きたい・・・もう怖いのは嫌、寂しいのも嫌、つらいのも嫌・・・
手を伸ばそうとした瞬間、ピリッと右足が痛んだ。
そして、そのかすかな痛みとともに、声が聞こえた。
「・・・ま!」
誰?誰かが・・・呼んでる?
後ろを振り向くが、誰もいない。ただただ混沌のような闇が広がる。
「ま・・・ま!」
この声?
「まま!!」
声?清香ちゃん!?
そうだ、清香ちゃん・・・清香ちゃんの声。
ダリが、助けてくれた、可愛い女の子。まるで私とダリの娘のような。
「綾音殿!」
芝三郎・・・なんであんたの声が?
そうだ、あんたを淡路に連れてかなきゃいけない。そもそもダリと結託して私を騙してからに・・・。でも、ダリが言っていた。
『守られたのは1000年ぶり』
って。
ああ・・・そうか・・・ちゃんと、ダリを見てなかった。自分のことしか考えてなかった。ダリはいつも私を守ろうとしてくれたじゃない。代替物・・・そうかも知れない、1000年前の碧音さんという人と似てたからかもしれない。
でも、それでも・・・。
ダリは私のところに来てくれた。
私はダリが好き。
だったら・・・それで・・・
「ダリー!!!」
私は大声で呼んだ。天狐・・・最強の妖怪、私に会いに来てくれた、私の大切な人の名を。
いつの間にか嫌な笑みの女の背後に数百、数千、数万の同じような女たちが見えた。皆、ギラギラとした目で私を見ていた。あそこは・・・温かいのだろうか・・・?
意識がモヤがかったように何も考えられない。あの集団に浸れば、一体感が、この上ないエクスタシーが待っているような気がしてならなかった。
気持ちいいんだ、きっと、あそこに堕ちれば、あそこに行けば、私は何の不安もない、何の恐怖もない、ただただ、安心だけがある。
行きたい・・・行きたい・・・もう怖いのは嫌、寂しいのも嫌、つらいのも嫌・・・
手を伸ばそうとした瞬間、ピリッと右足が痛んだ。
そして、そのかすかな痛みとともに、声が聞こえた。
「・・・ま!」
誰?誰かが・・・呼んでる?
後ろを振り向くが、誰もいない。ただただ混沌のような闇が広がる。
「ま・・・ま!」
この声?
「まま!!」
声?清香ちゃん!?
そうだ、清香ちゃん・・・清香ちゃんの声。
ダリが、助けてくれた、可愛い女の子。まるで私とダリの娘のような。
「綾音殿!」
芝三郎・・・なんであんたの声が?
そうだ、あんたを淡路に連れてかなきゃいけない。そもそもダリと結託して私を騙してからに・・・。でも、ダリが言っていた。
『守られたのは1000年ぶり』
って。
ああ・・・そうか・・・ちゃんと、ダリを見てなかった。自分のことしか考えてなかった。ダリはいつも私を守ろうとしてくれたじゃない。代替物・・・そうかも知れない、1000年前の碧音さんという人と似てたからかもしれない。
でも、それでも・・・。
ダリは私のところに来てくれた。
私はダリが好き。
だったら・・・それで・・・
「ダリー!!!」
私は大声で呼んだ。天狐・・・最強の妖怪、私に会いに来てくれた、私の大切な人の名を。

