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天狐あやかし秘譚
第16章 往事茫茫(おうじぼうぼう)

光が私の足に結び付けられた糸から広がり、私の全身を包む。
その光が黒い女たちの影を打ち払った。
「があああ!」
最初に現れた黒い女性だけが最後までしぶとく残る。この声、この顔・・・
あなた!
「河西佳苗さん!」
「あんた!おかしいよ!恨めよ!憎めよ!・・・なんで許せるんだよ!自分以外の女抱いている男を!嘘ついた男を!なんでだよぉぉぉぉ!!!」
光は更に輝度を増し、河西は顔を両腕で覆い、もがき苦しむ。そのまま悲鳴とともに他の影と同じくかき消えた。
光が消える。同時に、私の身体を途轍もない虚脱感が襲った。立っていられず、思わず両手両膝をついてしまう。
息が荒く、汗が体中から吹き出した。
「あれが・・・女怪?」
大きく、肩で息をする。もう少しで、もしかしたら私も、女怪になってしまっていたのかもしれない。そうならなかったのは、この糸とそれから清香ちゃんや芝三郎のおかげだ。
「綾音・・・」
声がした。ゆっくりと顔を上げて振り返る。私がうずくまっているすぐそこに、いた。
ダリだった。
そっと、私を抱き起こしてくれた。
「済まない・・・。守ると言いながら、また、主に守られた」
「ダリ・・・私・・・私・・・」
想いが溢れて、言葉にならない。もう、会えないかと思った。一回、気持ちがぐちゃぐちゃになった。でも、優しい顔、瞳、声・・・離れていたのはたった1日なのに、その何もかもが愛おしかった。
「必ず来ると、思っていた」
その言葉が、とても嬉しかった。
互いに顔を近づける。そっとダリと私は口づけを交わした。
その光が黒い女たちの影を打ち払った。
「があああ!」
最初に現れた黒い女性だけが最後までしぶとく残る。この声、この顔・・・
あなた!
「河西佳苗さん!」
「あんた!おかしいよ!恨めよ!憎めよ!・・・なんで許せるんだよ!自分以外の女抱いている男を!嘘ついた男を!なんでだよぉぉぉぉ!!!」
光は更に輝度を増し、河西は顔を両腕で覆い、もがき苦しむ。そのまま悲鳴とともに他の影と同じくかき消えた。
光が消える。同時に、私の身体を途轍もない虚脱感が襲った。立っていられず、思わず両手両膝をついてしまう。
息が荒く、汗が体中から吹き出した。
「あれが・・・女怪?」
大きく、肩で息をする。もう少しで、もしかしたら私も、女怪になってしまっていたのかもしれない。そうならなかったのは、この糸とそれから清香ちゃんや芝三郎のおかげだ。
「綾音・・・」
声がした。ゆっくりと顔を上げて振り返る。私がうずくまっているすぐそこに、いた。
ダリだった。
そっと、私を抱き起こしてくれた。
「済まない・・・。守ると言いながら、また、主に守られた」
「ダリ・・・私・・・私・・・」
想いが溢れて、言葉にならない。もう、会えないかと思った。一回、気持ちがぐちゃぐちゃになった。でも、優しい顔、瞳、声・・・離れていたのはたった1日なのに、その何もかもが愛おしかった。
「必ず来ると、思っていた」
その言葉が、とても嬉しかった。
互いに顔を近づける。そっとダリと私は口づけを交わした。

