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天狐あやかし秘譚
第17章 大声疾呼(たいせいしっこ)

☆☆☆
バリーン
ガラスが割れるような音と共に、ダリが張り巡らせた時を遅くする結界が破れた。
「おお!やっと破れよった!行くで!」
土御門が声を上げる。その後ろで土門が耳に手を当て何やら叫んでいた。おそらく通信機器で作戦が成功した旨を伝えているのだろう。
床にぺったりと座り込んだような格好で、いつの間にかライブラリーに戻っていた私のもとに、白髪白ひげの若干ダンディな術者、左前が駆け寄ってきた。
「怪我はないですか?」
私はふるふると首をふる。突然のことで頭がついていかない。
私の主観では、エッチで気持ちよくなってイッちゃったあと、服を着たらダリが何やら天に向かって呟いた。そしたらここにいた、みたいな感じだった。
でも、戻ってきたんだ。
「おりゃあ!!!」
ダリの左側を御九里が大太刀を脇構えにして突っ込んでいく。向かう先は河西佳苗のいるライブラリーの奥の方だ。
「あれ?突然、ひと・・・ふえた!!?」
河西がびっくりしたような顔をした。そうか、彼女にとっても、時は止まっていたから、突然目の前の景色が変わったように感じられているのか。
だが、戸惑ったのは一瞬だったようだ。すぐに切り替えると、ひらりと後ろに飛び退き、御九里の突進を躱す。
飛び退く際も、その腕に倖田を抱きしめながらだった。その姿は、彼女の力がいかに凄まじく強化されているのかを如実に伝えている。人間離れしすぎだ。
元々、河西が腰を掛けていたテーブルの上空にはまるで空間に穴が穿たれたかのような黒い渦があった。それは脈動し、異様な気配を放っていた。
御九里が河西を牽制したと同時に、土御門が動いていた。
「天地開闢 四神天帝を奉る 霊光、星辰、日形、月形、極みて退けよ
東方青帝土公、南方赤帝土公、西方白帝土公、北方黒帝土公、赤門より再拝せよ
霊光剣戟 急急如律令!」
御九里が持っているのよりも更に大きい太刀を斜めに構え、呪を唱える。その言霊に呼応し、太刀が光を放ち始める。
先に鬼道を収束させるためにも使った、土御門が使える金気由来の最高術式のひとつ、『四神霊光檄』だ。
バリーン
ガラスが割れるような音と共に、ダリが張り巡らせた時を遅くする結界が破れた。
「おお!やっと破れよった!行くで!」
土御門が声を上げる。その後ろで土門が耳に手を当て何やら叫んでいた。おそらく通信機器で作戦が成功した旨を伝えているのだろう。
床にぺったりと座り込んだような格好で、いつの間にかライブラリーに戻っていた私のもとに、白髪白ひげの若干ダンディな術者、左前が駆け寄ってきた。
「怪我はないですか?」
私はふるふると首をふる。突然のことで頭がついていかない。
私の主観では、エッチで気持ちよくなってイッちゃったあと、服を着たらダリが何やら天に向かって呟いた。そしたらここにいた、みたいな感じだった。
でも、戻ってきたんだ。
「おりゃあ!!!」
ダリの左側を御九里が大太刀を脇構えにして突っ込んでいく。向かう先は河西佳苗のいるライブラリーの奥の方だ。
「あれ?突然、ひと・・・ふえた!!?」
河西がびっくりしたような顔をした。そうか、彼女にとっても、時は止まっていたから、突然目の前の景色が変わったように感じられているのか。
だが、戸惑ったのは一瞬だったようだ。すぐに切り替えると、ひらりと後ろに飛び退き、御九里の突進を躱す。
飛び退く際も、その腕に倖田を抱きしめながらだった。その姿は、彼女の力がいかに凄まじく強化されているのかを如実に伝えている。人間離れしすぎだ。
元々、河西が腰を掛けていたテーブルの上空にはまるで空間に穴が穿たれたかのような黒い渦があった。それは脈動し、異様な気配を放っていた。
御九里が河西を牽制したと同時に、土御門が動いていた。
「天地開闢 四神天帝を奉る 霊光、星辰、日形、月形、極みて退けよ
東方青帝土公、南方赤帝土公、西方白帝土公、北方黒帝土公、赤門より再拝せよ
霊光剣戟 急急如律令!」
御九里が持っているのよりも更に大きい太刀を斜めに構え、呪を唱える。その言霊に呼応し、太刀が光を放ち始める。
先に鬼道を収束させるためにも使った、土御門が使える金気由来の最高術式のひとつ、『四神霊光檄』だ。

