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天狐あやかし秘譚
第17章 大声疾呼(たいせいしっこ)

私の横では、ダリが槍を見たこともないような形で構えていた。
それはちょうど両手で頭上に槍を掲げ、その槍先を鬼道の暗い虚に向けるような構えだった。そのまま、朗々と呪言が奏上される。
「天地を 玉ごに照らす 久方の日よ
天離る 日なき根の国 もののこそ去ね」
ダリの持つ槍の先から強い光があふれる。
土御門の太刀の光とダリの槍の放つ光が混じり合い、溶け合い、蠢動する闇を包み込んでいく。
「ぎゃはははは!!!無駄だよおお・・・また押し返すもの!
仲間・・・仲間・・・仲間ああああ!!!」
大きな口を開け、『始まりの女怪』がおぞましい声をあげる。
「仲間呼ぶつもりや。左前!!行けえ!」
「承知!」
左前が私のもとから河西に向けて駆け出す。一足で大きく距離を詰める身体能力はさすがだ。右手を腰の後ろにやる。よく見ると、腰の後ろにナタのような刃物を収納する鞘が横向きにくくりつけられていた。その刃物を抜き取る。
「石剣・・・岩鳴り」
その剣、剣と呼んでいいのかわからないが、は、刀身が石でできていた。石を磨きだして一振りの剣を作っているようだった。刃渡りは約30センチほど、幅は10センチほどのずんぐりとしたフォルム。持ち手まで石なので、持ちにくそうだ。
左前がその剣で河西佳苗の腕を薙いだ。
「ぎゃあああああ!」
河西が大きく叫び声を上げる。痛みのためか、抱えていた倖田を取り落とす。手足のない倖田が呻き声を上げ、地面に転がる。
「御九里!」
振り向きざま、左前が河西にもう一太刀浴びせる。背中に一撃を受け、そのまま河西が前につんのめるようにして倒れた。
その間に御九里が地面に転がっていた倖田の身体を引きずって出口に急いだ。
「ようやった!行くで!天狐」
人がいなくなったからだろうか、やっと実力が発揮できるとばかりに、土御門が手にした太刀を大きく振り上げる。同時にダリも槍を脇に構え直す。
「やめろおおおおお!!!」
左前によって、地面に組み伏せられた河西が咆哮する。
それはちょうど両手で頭上に槍を掲げ、その槍先を鬼道の暗い虚に向けるような構えだった。そのまま、朗々と呪言が奏上される。
「天地を 玉ごに照らす 久方の日よ
天離る 日なき根の国 もののこそ去ね」
ダリの持つ槍の先から強い光があふれる。
土御門の太刀の光とダリの槍の放つ光が混じり合い、溶け合い、蠢動する闇を包み込んでいく。
「ぎゃはははは!!!無駄だよおお・・・また押し返すもの!
仲間・・・仲間・・・仲間ああああ!!!」
大きな口を開け、『始まりの女怪』がおぞましい声をあげる。
「仲間呼ぶつもりや。左前!!行けえ!」
「承知!」
左前が私のもとから河西に向けて駆け出す。一足で大きく距離を詰める身体能力はさすがだ。右手を腰の後ろにやる。よく見ると、腰の後ろにナタのような刃物を収納する鞘が横向きにくくりつけられていた。その刃物を抜き取る。
「石剣・・・岩鳴り」
その剣、剣と呼んでいいのかわからないが、は、刀身が石でできていた。石を磨きだして一振りの剣を作っているようだった。刃渡りは約30センチほど、幅は10センチほどのずんぐりとしたフォルム。持ち手まで石なので、持ちにくそうだ。
左前がその剣で河西佳苗の腕を薙いだ。
「ぎゃあああああ!」
河西が大きく叫び声を上げる。痛みのためか、抱えていた倖田を取り落とす。手足のない倖田が呻き声を上げ、地面に転がる。
「御九里!」
振り向きざま、左前が河西にもう一太刀浴びせる。背中に一撃を受け、そのまま河西が前につんのめるようにして倒れた。
その間に御九里が地面に転がっていた倖田の身体を引きずって出口に急いだ。
「ようやった!行くで!天狐」
人がいなくなったからだろうか、やっと実力が発揮できるとばかりに、土御門が手にした太刀を大きく振り上げる。同時にダリも槍を脇に構え直す。
「やめろおおおおお!!!」
左前によって、地面に組み伏せられた河西が咆哮する。

