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天狐あやかし秘譚
第17章 大声疾呼(たいせいしっこ)
光り輝いていたのは、ちょうどダリ達が河西と戦っていた時、鬼道が口を開けた場所にほかならなかった。シラクモと呼ばれた白髪の少年は「よいしょっ」と声をかけ、その部分に手を伸ばす。

「ああ・・・あったよ」
手のひらの中に、イタツキが首にかけているのと同じくらいの大きさの勾玉が握られていた。こちらは黒と緑がその表面を蠢いている。

「あんまり長く握っているな。適合してないんだから、もってかれるぞ」
「へいへい・・・」
シラクモはポケットから直径5センチ、高さ10センチくらいの黒い円筒形の入れ物を取り出すと、その中に今取った黒緑の勾玉を放り込み蓋をした。

「さあ、回収できた・・・お館様のところに帰ろう」
「ええ?!これで終わり?・・・なんなら、今全部、殺っちゃえばいいのに・・・。俺ならできるよ?」
ぶーっとしゃがんだまま頬をふくらませるシラクモをイタツキがたしなめる。
「余計なことをするな。今はまだ時機ではない。今回は、それの作動実験。まあ、成功といったところだ」
「でも適合者いねえだろ?使えねえじゃん」
「適合者を作れる、ということまで確認できた・・・。それで十分だ」
「ふーん、そんなもん?」
そんなことを話しながら、イタツキとシラクモは東京の闇に消えていった。
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