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天狐あやかし秘譚
第18章 【第5話 木霊】隋珠和璧(ずいしゅかへき)

☆☆☆
あああ・・・
いよいよ、アパートの退去期限まであと、3日となってしまった。
結局、家は見つからず、職も見つからなかった私は、土御門の話に応じるよりほか、道がなくなっていた。つまり、『宮内庁陰陽寮に就職する』という話である。
というわけで、今日は宮内庁に来ていた。
あまり知られていないが、宮内庁は東京メトロ二重橋前駅から徒歩15分ほどの所、皇居内に位置している。そして、陰陽寮の建物は宮内庁本庁からさらに5分ほど歩いたところにひっそりと建っていた。外観の印象は古い病院、みたいな感じ。御影石の石積み風の壁で多角形の形をしているようだ。嵌っているガラスも古そうな作りで、均一な作りではないのだろうか、あちこち微妙に屈折率が違うように見える。昭和の初期か大正時代くらいに建てられたような佇まいである。
私達は、私とダリ、ついでに、『清香も行く〜』と駄々をこねるので、清香ちゃん、さらには、置いていくわけにもいかないので小学校低学年の男の子に化けた芝三郎といういつものメンツでここを訪れていた。
受付の女性の制服すら、やや古風な感じを覚えるエントランスを抜け、案内された応接室にて待つ。しばらくすると、瀬良と土御門がやってきた。
「おう!元気やったか?綾音はん」
「ようこそおいでくださいました」
それぞれから歓迎の言葉を受けた。世間話もそこそこに、私は、例の就職の話を詳しく聞きたいと切り出した。
「大歓迎やで、なあ?瀬良ちゃん」
「はい・・・お二人は先日の女怪事件の際にも活躍されましたので、私達としても即戦力として期待できるかと・・・」
待遇を確認すると、今の私にとっては破格である。給料は大卒の初任給を軽く凌駕し、かつ社宅の提供、交通費は別途支給・・・。やっぱり国家公務員は違うなあ、と感心し、『ここで働かせてください』と相成った。
あああ・・・
いよいよ、アパートの退去期限まであと、3日となってしまった。
結局、家は見つからず、職も見つからなかった私は、土御門の話に応じるよりほか、道がなくなっていた。つまり、『宮内庁陰陽寮に就職する』という話である。
というわけで、今日は宮内庁に来ていた。
あまり知られていないが、宮内庁は東京メトロ二重橋前駅から徒歩15分ほどの所、皇居内に位置している。そして、陰陽寮の建物は宮内庁本庁からさらに5分ほど歩いたところにひっそりと建っていた。外観の印象は古い病院、みたいな感じ。御影石の石積み風の壁で多角形の形をしているようだ。嵌っているガラスも古そうな作りで、均一な作りではないのだろうか、あちこち微妙に屈折率が違うように見える。昭和の初期か大正時代くらいに建てられたような佇まいである。
私達は、私とダリ、ついでに、『清香も行く〜』と駄々をこねるので、清香ちゃん、さらには、置いていくわけにもいかないので小学校低学年の男の子に化けた芝三郎といういつものメンツでここを訪れていた。
受付の女性の制服すら、やや古風な感じを覚えるエントランスを抜け、案内された応接室にて待つ。しばらくすると、瀬良と土御門がやってきた。
「おう!元気やったか?綾音はん」
「ようこそおいでくださいました」
それぞれから歓迎の言葉を受けた。世間話もそこそこに、私は、例の就職の話を詳しく聞きたいと切り出した。
「大歓迎やで、なあ?瀬良ちゃん」
「はい・・・お二人は先日の女怪事件の際にも活躍されましたので、私達としても即戦力として期待できるかと・・・」
待遇を確認すると、今の私にとっては破格である。給料は大卒の初任給を軽く凌駕し、かつ社宅の提供、交通費は別途支給・・・。やっぱり国家公務員は違うなあ、と感心し、『ここで働かせてください』と相成った。

