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天狐あやかし秘譚
第18章 【第5話 木霊】隋珠和璧(ずいしゅかへき)
ある日、私は人の子の姿になり、家の庭に降り立った。
手を握る。開く。周囲を見回し、声を出してみる。

あ・・・あ・・・

人の子のように、見えるだろうか?
その姿は何人も見た人の子の姿の中間位を真似た。
人の子には男と女がいる。

私は女を選んだ。特に理由はない。ただ、子を成すのが女であるなら、実をつける我が身は女だと思ったから、というくらいの理由だ。

そっと、家の中を覗いた。夜なので、皆寝ていた。
布団を剥いでいる元気な子、大人しく静かに寝ている子、この家には今、3人の子がいる。別の部屋も見てみようと移動した。別の部屋では、両親が寝ている。父親は大いびき、母親はすーすーと心地よさそうに寝ていた。

人は、なんと豊かな表情をしているのだろう。
私は思った。飽きることなく、見られるなあと。

「君・・・誰?」

その時、背後から声をかけられた。身体がビクッとする。きっと、これを人の子は『驚いた』というのだろう。そう、私はとても驚いた。

振り向くと、この家の一番大きな子、男の子が立っていた。

「君・・・誰?」

もう一度聞かれる。
「私は・・・」
これが、私と彼の出会いだった。

その日を境に、私と彼は頻繁に会うようになった。
最初は夜中に、そのうち、昼にも。
彼はハーモニカというものを吹いてくれた。
それは不思議なものだった。
彼の息に合わせて、音楽が流れた。

彼は野良仕事の大変さや隣町に行ったときに見たことを教えてくれた。
私はうなづきながら聞いた。
人の子と話したのは、生まれて初めてで、最初はどうしていいかわからなかったけど、彼が笑いながら話すいろいろな事柄は、すぐに私の真ん中をあったかくした。
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