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天狐あやかし秘譚
第20章 【第6話 夜道怪】一陽来復(いちようらいふく)

『行っちゃダメー!!!!』
絶叫に近い声がした。風が巻き上がり、私は思わず目を覆った。
あれ?あったかい・・・?
気がつくと、私は着物姿のぱぱの左手に抱っこされていた。ぱぱの右手には長い槍が握られている。
「ぎゃあああああ!」
目の前で黒い影のような何かが横薙ぎにされていた。ぱぱがやったんだとわかった。
さっきまで白い着物を着たあの人だと思っていたのは、夢の中の黒い影だったみたいだ。
「夜道怪か・・・疾く、去ね」
ぱぱが言うと、その黒い影は細かなチリのようになって、空に消えていった。
そのまま、周りにあった石灯籠もまるでガラスが割れるように散り、消えていった。
「清香ちゃん!」
ぱぱに抱っこされていた私のところにままが来て、ぎゅっと抱きしめてくれる。
私は、急に怖くなった。
そうだ、ぱぱもままもいない、真っ暗なところで私は一人だった。
怖い・・・怖いよ・・・。
涙が溢れてきて、私はしゃくりあげるように泣いていた。ぱぱとままが私をサンドイッチするみたいにぎゅっと抱っこしてくれた。
「私・・・私・・・お迎えに行かなきゃって」
やっと言葉が出た。そう、あの人を迎えに行きたかった。
でも、誰かが行っちゃダメって言って、それでぱぱが来て、ままが来て・・・。
「でも、本当は・・・いなかった・・・」
黒い影が、あの人のふりをしていたんだと、今になってわかった。
私は、しばらくぱぱの腕の中で泣きじゃくっていた。
絶叫に近い声がした。風が巻き上がり、私は思わず目を覆った。
あれ?あったかい・・・?
気がつくと、私は着物姿のぱぱの左手に抱っこされていた。ぱぱの右手には長い槍が握られている。
「ぎゃあああああ!」
目の前で黒い影のような何かが横薙ぎにされていた。ぱぱがやったんだとわかった。
さっきまで白い着物を着たあの人だと思っていたのは、夢の中の黒い影だったみたいだ。
「夜道怪か・・・疾く、去ね」
ぱぱが言うと、その黒い影は細かなチリのようになって、空に消えていった。
そのまま、周りにあった石灯籠もまるでガラスが割れるように散り、消えていった。
「清香ちゃん!」
ぱぱに抱っこされていた私のところにままが来て、ぎゅっと抱きしめてくれる。
私は、急に怖くなった。
そうだ、ぱぱもままもいない、真っ暗なところで私は一人だった。
怖い・・・怖いよ・・・。
涙が溢れてきて、私はしゃくりあげるように泣いていた。ぱぱとままが私をサンドイッチするみたいにぎゅっと抱っこしてくれた。
「私・・・私・・・お迎えに行かなきゃって」
やっと言葉が出た。そう、あの人を迎えに行きたかった。
でも、誰かが行っちゃダメって言って、それでぱぱが来て、ままが来て・・・。
「でも、本当は・・・いなかった・・・」
黒い影が、あの人のふりをしていたんだと、今になってわかった。
私は、しばらくぱぱの腕の中で泣きじゃくっていた。

