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天狐あやかし秘譚
第20章 【第6話 夜道怪】一陽来復(いちようらいふく)

☆☆☆
清香ちゃんが、ベッドで眠っている。いっぱい泣き疲れたのか、お風呂に入って、簡単なご飯を食べると、あっという間に眠ってしまった。今は芝三郎が隣でぬいぐるみになって転がっている。
私はお茶を淹れて、手を温めながら今日のことを考えていた。私は部屋着、ダリは紬姿のまま、日本酒を舐めていた。
綿貫亭に引っ越して、私が真っ先に購入したのが、今、清香ちゃんが眠っているキングサイズのベッドだった(なんでって、聞かないで!)
今日、清香ちゃんのために七五三をやろうということで、お参りに行った。帰り道、日が暮れかけた頃、ふと後ろを見ると清香ちゃんがいなくて焦った。
あたりに見当たらず、ダリにもお願いして探してもらった。ダリ曰く、何かに捕まったようだ、と。
芝三郎と私、ダリで手分けして周囲を探したがなかなか、見つからなかった。
途方に暮れていた時、私の耳に声が聴こえた。
『清香を・・・助けて』と。
その声のした方にダリと向かった所、あの不思議な参道に出たのだ。
ダリによると、あれは『夜道怪』という妖怪だそうだ。
親しい人、その人が一番会いたい人に化けて、夜道の向こうの異界に誘い込む怪異。巻き込まれれば、二度と出てこられないという。
おそらく、あの参道の先にあった青色の鳥居が異界の入口だったのだろう。
「あの鳥居の下にいたのが、夜道怪?」
「そうだな」
ダリが日本酒を呷る。
「じゃあ、あの私達を呼び寄せた声は?」
「さあ・・・なんだろうな?」
時間が良くなかった、とダリは言った。日が暮れる寸前、昼でもない、夜でもない時間。
そういう時間は、普段は触れ合わない世界同士が触れ合うのだそうだ。
逢魔時
その世界のほころびにつけ込んで、夜道怪が清香ちゃんを見つけたのだろう、と。
でも、悪意のあるモノ以外も、清香ちゃんを見つけたのかもしれない、とも。
「もしかしたら、七五三、とやらで着飾った、清香を見に来た者がいたのやもしれぬな。常世から・・・。」
ダリが、優しく笑った。
清香ちゃんが、ベッドで眠っている。いっぱい泣き疲れたのか、お風呂に入って、簡単なご飯を食べると、あっという間に眠ってしまった。今は芝三郎が隣でぬいぐるみになって転がっている。
私はお茶を淹れて、手を温めながら今日のことを考えていた。私は部屋着、ダリは紬姿のまま、日本酒を舐めていた。
綿貫亭に引っ越して、私が真っ先に購入したのが、今、清香ちゃんが眠っているキングサイズのベッドだった(なんでって、聞かないで!)
今日、清香ちゃんのために七五三をやろうということで、お参りに行った。帰り道、日が暮れかけた頃、ふと後ろを見ると清香ちゃんがいなくて焦った。
あたりに見当たらず、ダリにもお願いして探してもらった。ダリ曰く、何かに捕まったようだ、と。
芝三郎と私、ダリで手分けして周囲を探したがなかなか、見つからなかった。
途方に暮れていた時、私の耳に声が聴こえた。
『清香を・・・助けて』と。
その声のした方にダリと向かった所、あの不思議な参道に出たのだ。
ダリによると、あれは『夜道怪』という妖怪だそうだ。
親しい人、その人が一番会いたい人に化けて、夜道の向こうの異界に誘い込む怪異。巻き込まれれば、二度と出てこられないという。
おそらく、あの参道の先にあった青色の鳥居が異界の入口だったのだろう。
「あの鳥居の下にいたのが、夜道怪?」
「そうだな」
ダリが日本酒を呷る。
「じゃあ、あの私達を呼び寄せた声は?」
「さあ・・・なんだろうな?」
時間が良くなかった、とダリは言った。日が暮れる寸前、昼でもない、夜でもない時間。
そういう時間は、普段は触れ合わない世界同士が触れ合うのだそうだ。
逢魔時
その世界のほころびにつけ込んで、夜道怪が清香ちゃんを見つけたのだろう、と。
でも、悪意のあるモノ以外も、清香ちゃんを見つけたのかもしれない、とも。
「もしかしたら、七五三、とやらで着飾った、清香を見に来た者がいたのやもしれぬな。常世から・・・。」
ダリが、優しく笑った。

