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天狐あやかし秘譚
第21章 日常茶飯(にちじょうさはん)
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【日常茶飯】日々のありふれたこと。いつものことで特に取り上げるまでもないもの。
毎日ご飯食べるみたいに、当たり前だけど大事なこと、みたいな。
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リビングで今日のことを振り返りつつ、ダリとしっとりとお話している、という状況なのだが、実は、私の頭の中には2つの懸念が押し合いへし合いしていたのである。

ひとつはもちろん、清香ちゃんのことだ。夜道怪に襲われて、疲れ切って寝ている。大丈夫かな、と心配だった。
そして、もうひとつ。それは、今晩・・・多分、ダリがエッチに迫ってくる、と予想できること。それでソワソワしてしまっているということだ。

だんだん、私は分かってきた。ダリは、妖力を使うと、私とエッチしたくなる・・・という法則がある・・・みたいなのだ。と、いうより、私とのエッチで妖力を補充している気がする。原理はわかんないけど・・・。

今日、ダリは清香ちゃんのために夜道怪を祓った。祓ったから・・・。
ぎゅっと湯呑みを両手で握ってしまう。思わず上目遣いでダリを見ちゃう。今はなんということない表情でクイッとおちょこを傾けている。切れ長の目、少しお酒が回ったのか、ほんのりと赤い頬、サラサラと綺麗な髪の毛・・・。

思わず見とれていると、ダリも私の方をちら見てきて、どきりとしてしまう。
今日も・・・する・・・のかな?
妖力使ったから・・・きっと・・・迫って・・・来ちゃうよね。

慌てて顔を伏せる。顔が赤くなっていないか心配だ。
うう・・・悲しいかな、ものすごく期待してしまっている自分が・・・憎い・・・。

「あ・・・あのぉ・・・私もそろそろ、ね・・・寝ようかな・・・なんて」
不自然・・・我ながら。

別に気持ちいいんだし、いいじゃん!と読者諸氏は思うかもしれない。しかし、ここには乙女の沽券に関わる、ある重大な問題があるのであった。

それについて説明するためには、清香ちゃんが夜道怪に連れ去られそうになった今日この日から、少し遡って話をする必要がある。

私達が綿貫亭に引っ越しをしたときのことをお話しよう。
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