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天狐あやかし秘譚
第21章 日常茶飯(にちじょうさはん)

「見てるだけじゃなくて、一緒に暮らす?」
何気なく言ってみた。彼女は両手を合わせて口元に持ってくるという独特のスタイルでしばらく思案した上で、小さく頷いた。
こうして、桔梗は綿貫亭の屋敷神として私達と一緒に暮らすことになったのだ。
まあ、一緒に暮らすと言っても、彼女は神様みたいなものなので、ご飯を食べたりお風呂に入ったりはしない。たまにふわりと家の中で浮かんでいたり、本当に極稀に話しかけてくるくらいで特に何かをするということはなかった。そして、せっかく陰陽寮の人が作ってくれたのだが、あまり祠にはいないようで、彼女の主とした居場所は相変わらず和室だった。
なので、私も毎日床の間にお水とお米を少しおいておくことにした。これが正しいのかわからないし、桔梗に言われたわけでもないのだが、なんとなく、こうしたら、桔梗自身が『自分はここにいていい』と思ってくれるんじゃないかと思ったからだ。
さて、先ほど、桔梗について『特に何かをするということはない』と描写したが、実は、困ったことが一つだけあった。
それが最初にわかったのは、桔梗が私に話しかけてくれてから2週間ほど後、清香ちゃんの七五三の数日前のことだった。
何気なく言ってみた。彼女は両手を合わせて口元に持ってくるという独特のスタイルでしばらく思案した上で、小さく頷いた。
こうして、桔梗は綿貫亭の屋敷神として私達と一緒に暮らすことになったのだ。
まあ、一緒に暮らすと言っても、彼女は神様みたいなものなので、ご飯を食べたりお風呂に入ったりはしない。たまにふわりと家の中で浮かんでいたり、本当に極稀に話しかけてくるくらいで特に何かをするということはなかった。そして、せっかく陰陽寮の人が作ってくれたのだが、あまり祠にはいないようで、彼女の主とした居場所は相変わらず和室だった。
なので、私も毎日床の間にお水とお米を少しおいておくことにした。これが正しいのかわからないし、桔梗に言われたわけでもないのだが、なんとなく、こうしたら、桔梗自身が『自分はここにいていい』と思ってくれるんじゃないかと思ったからだ。
さて、先ほど、桔梗について『特に何かをするということはない』と描写したが、実は、困ったことが一つだけあった。
それが最初にわかったのは、桔梗が私に話しかけてくれてから2週間ほど後、清香ちゃんの七五三の数日前のことだった。

