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天狐あやかし秘譚
第3章 【第2話 獄門骸骨】夢幻泡影(むげんほうよう)
☆☆☆
「ないですね」
弾けるような笑顔で、いともたやすく不動産屋のおじさんは言い放った。

ガン!

「い・・いや・・・そんな・・・もう少し・・・」
考えていただけないものか?せめて、手元の台帳を開いていただくくらいは・・・。

私は、家探しのために不動産屋さんを訪れていた。ニコニコと気の良さそうな不動産屋の小父さんに、ささやかな希望を述べたまでである。

急行が止まる駅から徒歩5分以内(どんな就職先でも対応できるように)、2LDK以上(ダリがいるから)、バストイレ別(ダリがいるから)、家賃ができれば5〜8万程度(いま無職だから♡)・・・。

「だから、ないです」
気分は袈裟懸けに斬られた武士のごとくである。
しょうがない・・・、私はとぼとぼと不動産屋さんをあとにした。

これで、8軒目だ。

分かっていますとも。こんな好条件で部屋を借りるなんてできないってことくらい。かといって、どれを妥協するにも難しい。願わくば先に仕事を探したいところだが・・・。

そっちはもっと難しいだろう。

ああ・・・お腹すいた。
もう、朝からずっと歩き通しである。疲労と空腹で頭が痛くなってきた。

ダメだぁ・・・意識するとなおさら空いてくる。

ぐう・・・

お腹が盛大に鳴ってしまう。
結構大きな音で鳴ったが、ちらっとあたりを見た感じでは人はいない。
良かった、変な音聞かれなく・・

「綾音よ」

ひゃああ!!!
突然、真後ろから声をかけられた。
ダ・・ダリ?

よりによって、こんな時になんでいるのよ!!
今の・・・聞いてない・・・よね?

「主、腹が減ってるのか?」

はい、聞いてました。うう・・・超恥ずかしい。いくら妖怪とは言え、男子の前でお腹鳴っちゃうなんて・・・。

って、ダリもダリよ!そういうのは、聞かなかったことにしてくれるとかさ!乙女に直接そんなこと言うな!などと思いきっと睨み返そうとしたが、振り返った先のダリが物憂げに上方を振り仰ぐ様に思わず見惚れてしまう。

やば、まつげ長、肌綺麗・・・。

ぐう・・・

また、腹が鳴ってしまい、耳の先まで赤面する。

「腹が減ってるのなら」
ダリが視線で、あっちを見ろと合図しているようだったので、ギギギっとダリが見上げた先に目をやると・・・。

そこには、きつねうどんの看板があった。
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