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天狐あやかし秘譚
第3章 【第2話 獄門骸骨】夢幻泡影(むげんほうよう)
☆☆☆
セルフサービスのうどん屋さんである。

唐揚げやお天ぷらを皿に取り、最後にレジ前のカウンターでうどんを注文。そのままその先のレジでお金を払うという仕組みだ。

・・・うーん・・・お天ぷらは我慢しようかしら。
でも、カロリーも・・・これで夕飯まで持たせることを考えるとすると・・・。

普通のうら若き女子なら、カロリーが少ないものを頼むところだろうが、無職な私は「費用対カロリー」を計算してしまう。名付けて、コスト・パー・カロリー、コスカである。

理論上最も栄養価が高く、腹持ちが良さそうなのは、この塩豚温玉うどん(中盛)であろうと結論し、注文する。ふと見ると、ダリが横に並んでいる。

「我はこの”きつねうどん”がよい」

・・・食うんだ・・・。

心なしか、レジのお姉さんが目を見張っている気がする。まあ、当然だろう。ダリは超絶美形男子である。目が丸くなるのも・・・って!おい!!

私は目玉が飛び出るほど驚く。よく見れば、横にいるダリは狐神モード、すなわち、狐耳とフッさり尻尾がゆらゆらしている姿なのである。

ヒソヒソと私達の後ろから声が聞こえる。

「ど◯ぎつね・・・」
「ど◯ぎつねだ・・すげえ・・・なんか、カッコいい・・・」
「コスプレ?・・・やだー本物みたい!」

・・・。
開き直ろう。そう、この人は今、超リアルな『ど◯ぎつね』のコスプレをしているのです。
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