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天狐あやかし秘譚
第23章 形影相弔(けいえいそうちょう)
突き飛ばされ、尻餅をついた姿勢で二人の男を見上げる。一応キッと睨みつけたつもりだったが、迫力はさほどなかっただろう。

やばい・・・何このシチュエーション。

とりあえず、這いずって、自分の荷物を確保しようとする。ただ、そのせいで、男二人に部屋の隅に追い詰められる結果になってしまったのも事実だった。男たちの眼に揺れる劣情の炎が私にその目的を如実に知らせた。

間の悪いことに、今の私は風呂上がりでよく火照った身体に、浴衣というかなり扇情的な姿をしていた。男の一人が舌なめずりをする。

男は二人とも20代前半で、非常に屈強な体躯の持ち主である。とてもじゃないけど、筋力で勝てる気がしない。

「輿入祭の夜は、お楽しみの夜」
一人の男が言う。
「どの男が、どの女を犯しても・・・」
もう一人が続ける。
「「文句は言えない」」
二人が同時に言った。

不埒な笑みを浮かべた男たちの4本の手が、私に一気に襲いかかってきた。

や・・やめてぇ!
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