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天狐あやかし秘譚
第24章 誨淫導欲(かいいんどうよく)

☆☆☆
一方、宝生前の部屋では彼の唇を奪おうと、小柄な女が唇を寄せつつあった。
小柄な方は名を薫と言った。
薫には自分の魅力に相当の自信があった。自らの身体が発するむせ返るようなメスの匂いが男を虜にすること、そして、この肉付きの良い身体を男がいつも触りたがることを知っていたのである。
だからこそ、
「ストップです」
キスをする直前で手のひらでそれを止められるなんて、夢にも思っていなかった。
「何?あなたもしかして、妻帯者?・・・大丈夫よ・・・ここに一生いればいいんだから。私達の身体に溺れちゃいましょうよ・・・」
薫はなおも蠱惑的に迫っていく。過去、自分にこうやって迫られて、掻き立てられた欲情に負けない男などいなかった。ただ、この男は違った。はあ・・・とひとつため息をつくと、ややもすると面倒事を抱えてしまったと言わんばかりに呟いたのである。
「貴女がたは幸運ですよ。私を選んで・・・もし、ダリさんや綾音さんを選んだら、もっとひどい目にあったでしょうからね」
なんで?この男はなかなかなびこうとしない・・・。いつもと勝手が違い、薫は少し焦っていた。
「あら・・・私達の身体・・・抱いてくださらないの?」
スレンダーもその裸身を宝生前に寄せる。こちらは名を礼と言った。
礼もまた、なんとか宝生前をその気にさせようと、その耳元に口を寄せ、ぺろりと耳朶を舐める。
一方、宝生前の部屋では彼の唇を奪おうと、小柄な女が唇を寄せつつあった。
小柄な方は名を薫と言った。
薫には自分の魅力に相当の自信があった。自らの身体が発するむせ返るようなメスの匂いが男を虜にすること、そして、この肉付きの良い身体を男がいつも触りたがることを知っていたのである。
だからこそ、
「ストップです」
キスをする直前で手のひらでそれを止められるなんて、夢にも思っていなかった。
「何?あなたもしかして、妻帯者?・・・大丈夫よ・・・ここに一生いればいいんだから。私達の身体に溺れちゃいましょうよ・・・」
薫はなおも蠱惑的に迫っていく。過去、自分にこうやって迫られて、掻き立てられた欲情に負けない男などいなかった。ただ、この男は違った。はあ・・・とひとつため息をつくと、ややもすると面倒事を抱えてしまったと言わんばかりに呟いたのである。
「貴女がたは幸運ですよ。私を選んで・・・もし、ダリさんや綾音さんを選んだら、もっとひどい目にあったでしょうからね」
なんで?この男はなかなかなびこうとしない・・・。いつもと勝手が違い、薫は少し焦っていた。
「あら・・・私達の身体・・・抱いてくださらないの?」
スレンダーもその裸身を宝生前に寄せる。こちらは名を礼と言った。
礼もまた、なんとか宝生前をその気にさせようと、その耳元に口を寄せ、ぺろりと耳朶を舐める。

