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天狐あやかし秘譚
第25章 毛骨悚然(もうこつしょうぜん)
一体、こんな山奥で、こんな豪邸をどうやって維持しているんだろう?
食料はどうやって運んでいるのだろう・・・という非常に所帯じみたことを考えてしまう。今、通ってきた道は人が横に三人くらい並んで歩くことは出来そうだが、車で登ってこれるような道ではないように思えた。

それとも、他に『本道』みたいな道があるのだろうか?

「本家に入るみたいですよ」
宝生前が目の前を指差す。確かに、行列が壁の中に入っていくように見えた。どうやら、あそこに入口があるらしい。立派な門構えがあるようには見えないので、通用門的なものなのかもしれない。

行列がすべて壁の中に飲み込まれたのを見計らって、私達も入口まで近づく。そっと中を伺うと、輿が降ろされ、草介が立ち上がっていた。

「あれは裏戸のようですね」
草介が向かい合っているのは、やや大きめの両開きの扉だった。そこを開ければ本家の中に入れるようだが、玄関、という風情ではない。裏口、のようなものなのだろうか。

そして、裏戸に向き合う草介の左右に人々が一列に並び、松明や旗を掲げていた。一番手前に高灯籠を持った者が左右に控える。

「これより、輿入れの儀を行う!」
多分、その列の一番奥、家の側にいるであろう圭介が声を上げる。

「ホシガリ様ぁ、ホシガリ様ぁ・・・御身、固め事、な忘れそ・・・このをとこ、御身に招き入れ奉らめ・・・ホシガリ様ぁ、ホシガリ様ぁ・・・
 その代(しろ)に、くがね、しろかねあたえ給へ、さきわい給へ」

まるで神社の神主様があげる祝詞のようだ。その声に呼応するかのように、おそらく浮内の親族のものだろう。裏門を開く。静々と、草介は開いた扉の方に進んでいった。

「ホシガリ様ぁ・・・ホシガリ様ぁ・・・」
親族が総出で声を上げる。
「御身、固め事、な忘れそ・・・」
繰り返し、繰り返し、親族たちは傅きながら、祝詞をあげ続ける。

ゆっくり、ゆっくりと草介は歩き、そのまま、裏門に入っていった。
ぎぎぎぎ・・・と軋みながら、扉が閉ざされる。

ガチャン

そして、大きな音をたて、鍵がかけられた。
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