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天狐あやかし秘譚
第25章 毛骨悚然(もうこつしょうぜん)
「宝生前さん・・・みんながこっち来るみたい」
「隠れたほうが良さそうです」

親族一同、こちらに向かって歩き始めたので、私達は慌てて壁から離れ、木立の中に身を潜める。そっと見ていると、親族たちもおつきの人たちも、一言も言葉を交わすことなく、来た道をそのまま帰っていった。

「え?これで・・・終わり?」
「どうやらそのようですね」

私と宝生前は暗い木立の中にぽつんと取り残されてしまったような状態だった。ダリは、多分、木の上にいる、と思う。

行ってみましょう、という宝生前に誘われ、裏戸に駆け寄るが、ガッチリとした鍵がかけられており、とてもじゃないけど開けそうになかった。
まあ、ダリにぶち破ってもらう、という手もあるが、そんなことをしたら本家の人間に総出で追いかけられてしまうだろう。

「どこか、別の場所から侵入したほうがいいかもしれないですね」
周囲を見回しても人の気配はないが、その代わり、すぐに入れそうな窓なんかもない。

「いや・・・他の場所からの侵入・・・とやらも、難しいだろう」
ふわりと狐神モードのダリが私の横に降り立つ。
「どういうこと?」
どうやら、ダリは上空からこの屋敷を見てきたようだった。
「見ればわかる」
言うや、ひょいと私を小脇に抱えると、ふわりと跳躍した。不思議な浮遊感とともに、私とダリは軽く20メートル近く浮き上がった。

闇夜とは言え、星が瞬き、真の闇ではない。
星灯りに照らされた光景に、私は目を剥いた。

「な・・・なにこれ!?」

そこには、おおよそ通常の家では考えられないほどの広い敷地に延々と迷路のように不規則に家の棟が複雑に連結していた。屋根が延々と広がっているように見える。

「普通の家ではないな・・・」
ダリがボソリと言った。

そして、その連結しているすべての棟はしんと静まり返っており、まるで人の気配がない。
それは、とても奇妙な光景だった。
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