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天狐あやかし秘譚
第25章 毛骨悚然(もうこつしょうぜん)
私は思わず飛び出し、草介さんとホシガリ様の間に割って入った。

期せずして、この瞬間は、ダリ、ホシガリ様、私、草介さん、宝生前が一直線に並んでいた。
ダリが何かを叫びながら、槍を振り回す光景がスローモーションのように見えた。

ホシガリ様が、合わせた手のひらの間に『黒い光』としか言いようのない不思議なものを生み出す。

「いけない!」と宝生前が私の後ろで叫んだ。
ダリが槍を振り下ろし、ホシガリ様を縦に一刀両断する。
しかし、そのままそのホシガリ様は両手を広げ、中央に作り出した黒い光を一気に広げた。

「綾音ええ!!!」

ダリが叫ぶ。

私は切り裂かれるホシガリ様の向こうのダリに手を伸ばした。
でも、その刹那・・・

私の身体をホシガリ様が生み出した黒い光が包みこんだ。

「ダリ!!!」

手を伸ばすが、それは空を切る。
そして、そのまま、私は意識もろともホシガリ様の作り出した黒い光に取り込まれてしまった。

目の前の光景が闇に沈む中、ダリが最後に呼んだ私の名が、脳内に何度も何度も、リフレインする。

私の身体は、深く深く、何処か別の世界に吸い込まれていってしまった。
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