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天狐あやかし秘譚
第3章 【第2話 獄門骸骨】夢幻泡影(むげんほうよう)
☆☆☆
家に帰り、シャワーを浴び、簡単な夕飯を作る。ずっと、ぼんやりしていた。
今日は、お米が高いので、節約メニューである。

お好み焼き
チンゲン菜のおひたし
冷やしトマト

ダリは食べないというので、麦茶だけを出してあげる。さっき、一応助けてもらったので、お礼をしたいのは山々だが、毎回お神酒を振る舞うような経済力は、今の私にはない。

ただ、食べながらも、どうしてもさっきの『幽霊』が気になる。

「ねえ・・・ダリ・・・消えちゃうって言っていたけど・・・。どのくらいかかるの?」
「なんだ、まだ気になるのか?・・・そうだな・・・明日消えるかもしれんし、100年あの場にいるかもしれん。その者の思いによって変わってしまうものだ」

未練の量、みたいなことだろうか?

「苦しいのかな?」

なんとなく、言う。あの場でずっとずっと独りで?それは、どうなのだろう?
それに、彼女は何かを訴えていた。

「苦しんでいない者は、常世に行く。この世に思いがあるから、残る。残っていれば、現し世に魂は削られる・・・苦しいだろう」

苦しいのか・・・。

「なんとかしてやろうなどと思うな。魂の心残りなど、大抵はどうしようもないものばかりだ。主には何もできんよ。現し世の人も、全ての願いを叶えるわけにはいかぬじゃろう?魂も同じじゃ・・・。構わぬがよい。」

要は、心残りをどうにかすることはできないことが多いということだろう。確かに、普通に生きている私達でも、日々心残りだらけだ。それを全部解消することなんてできない。

お好み焼きを食べ終わり、片付けをする。
なんだか、今日は疲れた・・・。早く寝よう。

なんとなく、私が落ち込んでいたのを察したのであろうか、今日、ダリは「一緒に寝かせろ」とは言ってこなかった。
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