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天狐あやかし秘譚
第29章 正真正銘(しょうしんしょうめい)

「ねえ!あなたの名前、まだわからないのだけど・・・お願い!私の話を聞いて!」
「がああああ!!!」
ダメだ。意識が全くこっちを向かない。筋肉がさらに隆起し、とうとう、ダリの槍を押し返してしまった。
「ちっ!」
押し返される勢いを利用し、ダリが地面を蹴ってバク転、私の側に着地をした。
「何をしようとしたのだ?主は!」
「ダメ!全く声が届かないの!なんとかならないの?ダリ!」
そう、声が届かなければ私の考えた作戦は実行に移せない。やっぱり、圭介から彼女の真名を聞き出さないと・・・。でも、彼が言うとは思えない。
他に・・・他に彼女の真名を知っている人は・・・。
浮内の家の者、草介さんは知らなかった・・・でも、歴代の婿はどうだろう?特に、一番最初に婿に出された・・・左近次さんは?
左近次さんも本来は浮内の家の跡取りだったはず。それがホシガリ様が領巾の力を使えなくなったことでやむなく婿になった・・・とすれば、もしかして、真名を、聞いているかもしれない。
異界で聞いておけば良かった・・・。
もう、死んでしまっている人では聞き出しようが・・・いやまてよ・・・聞き出しようが・・・ある!
私は、陰陽寮に就職したばかりの初期研修を思い出していた。
「がああああ!!!」
ダメだ。意識が全くこっちを向かない。筋肉がさらに隆起し、とうとう、ダリの槍を押し返してしまった。
「ちっ!」
押し返される勢いを利用し、ダリが地面を蹴ってバク転、私の側に着地をした。
「何をしようとしたのだ?主は!」
「ダメ!全く声が届かないの!なんとかならないの?ダリ!」
そう、声が届かなければ私の考えた作戦は実行に移せない。やっぱり、圭介から彼女の真名を聞き出さないと・・・。でも、彼が言うとは思えない。
他に・・・他に彼女の真名を知っている人は・・・。
浮内の家の者、草介さんは知らなかった・・・でも、歴代の婿はどうだろう?特に、一番最初に婿に出された・・・左近次さんは?
左近次さんも本来は浮内の家の跡取りだったはず。それがホシガリ様が領巾の力を使えなくなったことでやむなく婿になった・・・とすれば、もしかして、真名を、聞いているかもしれない。
異界で聞いておけば良かった・・・。
もう、死んでしまっている人では聞き出しようが・・・いやまてよ・・・聞き出しようが・・・ある!
私は、陰陽寮に就職したばかりの初期研修を思い出していた。

