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天狐あやかし秘譚
第29章 正真正銘(しょうしんしょうめい)
どうやって喋らせようか?周囲を認識させて浮内が滅んだと言い聞かせてみようか?いや、ダメだろう。ショックになって魂が四散されても困る。

「安心してください。貴方がたが生きた時代から、随分豊かになりました。もう、あなたの子も、孫も、誰も飢えていません。ホシガリ様を囚えておく必要はないのです。だから、お願いです。あなたが知っている真名を教えてください」

これは少し嘘も入っている。確かに豊かにはなったが浮内の家はホシガリ様の力なくして繁栄を続けることは出来ないだろう。

だが、今は左近次の魂を動かすことができればそれでいい。

魂の炎がまた少し揺らいだ。

「あ・・・ああうう・・・」

やっと反応がある。

「大丈夫・・・あなたの子孫は幸せになり、皆豊かに暮らしています。」

「あぐう・・・ぐ・・・」

炎に男性の苦悶の表情が浮かぶ。どこか、草介に面立ちが似ていた。だが、浮かんだ顔は、グッと唇を噛み締めて、やはり首を左右に振るばかりだった。

この期に及んでまだ、家を守ろうと・・・。

私の脳裏に、先程の綾音さんの様子がよぎる。

浮内の人間がしたホシガリ様への仕打ちを許せない、といい、涙をにじませた表情。
『この屋敷を壊せば、少なくともホシガリ様を解放することができる。ここで1000年以上閉じ込められていたんだ。解き放ってあげたいよ。』
と言い、悔しそうに唇を噛みしめる様子。
そして、何より、ホシガリ様の痛みを共に感じ、叫び、悶えていた・・・。

あんなにも、苦しんでいる人間を目の前にして、この家の者たちは何も・・・本当に、何も思わないのか?

しかも、あの娘は、お前のために涙を流し、墓を作り、1000年たった今でも花を供えているのだぞ!

「泣いていたそうだ・・・。あんたが亡くなった時、ホシガリ様とお前らが呼び、1000年たった今でも喰い物にしているあの女性は・・・」
普段、私は、怒ることがない。
自分を落ち着いた人間だと思っていた。
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