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天狐あやかし秘譚
第31章 情意投合(じょういとうごう)
ふわっと私の肩に優しく手が置かれる感触がした。気がつくと、ダリが目の前にいた。
鼻腔をくすぐる男の人の匂い。耳元に口を寄せてきた。

ダメ・・・ダメダメ・・・!

「さあ」

言ったのは一言だけ。でもそれは私の脳髄を揺らし、蕩かすのに十分だった。
少し低くて、優しくて、温かな声。もっと、耳元で囁いてほしいと願ってしまう。

「あ・・・ダリ・・・。」

吐息のように言葉が漏れる。いいか・・・なんて聞いてこない。私が断るわけないって分かってるからだ。大きな手が私の浴衣の合わせからそっと差し入れられる。当然、浴衣の下には、ブラなんかつけてなんかいない。そして、実は、下も・・・。

太い指が私の乳房の敏感な蕾を的確に摘み、転がし、甘い刺激を与えてくる。そこからピリピリっと送り込まれてくる性感が私の身体を更に中からとろけさせる。

半開きになった私の唇をダリが力強く吸ってきた。
今日のダリ・・・すごい積極的だよお・・。

一瞬、私は自分がダリに食べられ、呑み込まれるようなイメージが浮かんできてしまう。そして、恐ろしいことに、そうなっても構わないと思ってしまっていた。

それくらい、彼とひとつになりたい欲求が、私の心に眠っていたことに驚く。

ああ・・・。

乳首をいじられて、唇を吸われる。
たったこれだけの性感なのに、熱い吐息が口から漏れる。

いつも思う。触れられて気づく。
自分が、強く、強く、ダリを求めていることに。それを止められないことに。

おずおずと彼の身体に腕を回す。
・・・ああ・・・ああ・・・

「お願い・・・もう・・・ダメなの・・・」

そう、もうダメ。

あっという間に心も体も奪われてしまう。
あっという間に何も考えられなくなってしまう。

ダリが私をそっと布団に横たえる。浴衣の上半身を開けると、私の身体を愛おしむようにその手のひらでさすってくる。
くすぐったいような、気持ちいいような、そんな微弱な刺激にさえ、また私は悶える。
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