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天狐あやかし秘譚
第3章 【第2話 狂骨】夢幻泡影(むげんほうよう)

キヨカ・・・って言っていた。
「ダリ・・・。あの子・・・殺されたんだ」
今更ながらに身体が震えだす。手足がすっと冷たくなり、心臓に針が刺さったように痛い。
頭の芯がジンジンと痺れた。また、心のなかに黒い男の像が浮かぶ。
そう、あの光景、後悔、恐怖、怒り、慟哭・・・
「殺された・・・死んだ・・・やめ・・だめ・・だって、お母さん・・・いや・・・ごめんなさい、ごめんなさい、ゴメンナサイ、ゴメンナサイ・・・」
目を灼かれ、叫びながら、彼女が感じたあらゆる感情が一気に押し寄せてくる。
目を見開く。心臓が高鳴り、胃の腑が逆流しそうになる。
ダリが抱きしめる腕の力を強め、私の名を呼ぶ。その声が遠い。遠くて全く届かない。私の中の感情の奔流は止まらない。
いつしか私は絶叫していた。
同時に、ダリが私の眉間に刀印を突きつけ、呪言を唱える。
「嘆かるる 思ひ渡りし 夢違へせよ
この空へ 魂かへしせよ 声にしたがへ」
ダリの言葉が刀印を通して光になり、私の額で弾ける。
体中に温かく青い光芒が染み渡るように広がっていく。
心の中の感情の奔流が薄れていく。
ゆっくり・・・ゆっくりと私の体の力が抜けていった。
くたり、と、私はベッドに横になる。
息は、まだ少し荒い。
「ダリ・・・。あの子・・・殺されたんだ」
今更ながらに身体が震えだす。手足がすっと冷たくなり、心臓に針が刺さったように痛い。
頭の芯がジンジンと痺れた。また、心のなかに黒い男の像が浮かぶ。
そう、あの光景、後悔、恐怖、怒り、慟哭・・・
「殺された・・・死んだ・・・やめ・・だめ・・だって、お母さん・・・いや・・・ごめんなさい、ごめんなさい、ゴメンナサイ、ゴメンナサイ・・・」
目を灼かれ、叫びながら、彼女が感じたあらゆる感情が一気に押し寄せてくる。
目を見開く。心臓が高鳴り、胃の腑が逆流しそうになる。
ダリが抱きしめる腕の力を強め、私の名を呼ぶ。その声が遠い。遠くて全く届かない。私の中の感情の奔流は止まらない。
いつしか私は絶叫していた。
同時に、ダリが私の眉間に刀印を突きつけ、呪言を唱える。
「嘆かるる 思ひ渡りし 夢違へせよ
この空へ 魂かへしせよ 声にしたがへ」
ダリの言葉が刀印を通して光になり、私の額で弾ける。
体中に温かく青い光芒が染み渡るように広がっていく。
心の中の感情の奔流が薄れていく。
ゆっくり・・・ゆっくりと私の体の力が抜けていった。
くたり、と、私はベッドに横になる。
息は、まだ少し荒い。

