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天狐あやかし秘譚
第33章 季布一諾(きふのいちだく)
☆☆☆
ざわりと空気が震えた。

木霊は風と親しい。風の震えは木の葉を揺らし、『私』達に世界の変化を伝えてくれる。今もそうだ。空気が揺れて、何かがきたことを教えた。

そして、その何かは『私』を見つけて、悦んだ。

あの、術者?

お腹の中がまたびくんとする。今、あの術者に邪魔されたくはない。
「玉置さん・・・早くいかねばなりません。お願いします。」

手を伸ばす。その手におずおずと玉置が自分の手を伸ばしてきた。

「あんた・・・一体・・・?」

そうか、理解、できないか。一番、彼女が納得するのはどういう言い方だろうか?

「同族・・・?いや、同じもの?・・・と言えばいいでしょうか?来てほしいです。『彼』はあなたを待っています。」

さあ、と手を伸ばすと、玉置はその手を取った。やや震えている気がするのは気のせいだろうか?

私はその手を引いて家を出る。中空を見ると、そこには体長1メートルほどの見慣れぬ龍が舞っていた。

あれか・・・。

周囲を見回す。今は冬が近い。眷属の力は望めない。
では・・・。

『はやちかぜ吹越して舞えもみじ葉よ』

ふうっと種になる空気の渦を唇から吐き出すと、その渦はたちまち風龍となって垂直に立ち上がる。いわゆる竜巻というやつだ。小さく作ったので、人の子の家には当たらぬはずだ。

「な!?」
手を繋いだ先の玉置が声を上げる。ああ・・・龍は見えずとも、風は感じるか?
すまない。びっくりさせたか?

風の龍が青い龍を取り巻き、絡め取り、中空で弄ぶ。
もう一度、ふうと息を吐き、さらにもう一体。

二匹の風の龍にもみくちゃにされ、青龍はあらぬ方向へと流されていった。

今の内だ・・・。

「あんた?もしかして・・・本当に、『神様』かい?」
そうかもしれない。人の子は私に祈りを捧げる。宮を作る。その先にいるものを等しく『神』と呼ぶなら、『私』は神だろう。
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