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天狐あやかし秘譚
第33章 季布一諾(きふのいちだく)

目を閉じると青龍の視覚を共有できる。上空から町を見つめる。今は通常の人間の視覚にチューニングしているが、これを少し霊的なものを検出しやすいものに変える。赤外線スコープのようなイメージ。灰色に景色が沈み、その代わり、霊的なものが光り輝いて視える。
町とは言え、そこここに霊的なものは潜んでいる。地縛霊、とるに足らない雑霊や動物霊、古い物に宿る付喪神、そして、あの桔梗のごとく古い命に宿る霊も浮き上がって視える。
ーなんや・・・?
俺の視覚がひとつのモノを捕らえた。うずくまり、震え、くすんでいる。
普段なら雑霊として、見過ごすほどのものだったが、妙に気になった。
ーいや、今はそれどころやない。
視覚をより広範囲に広げる。あの桔梗はかなり高位の木霊だ、いかに瀬良に憑依しようとも、その気配を消そうとしても・・・完全に隠れきる、ことは不可能だ。
それを見つけて、俺はにやりと笑う。
「おった」
青龍に、それを見張るように告げ、目を開く。
「嬢ちゃん、瀬良の姉ちゃんおったで。一緒に来てくれるか?」
優しく言うと、コクリと頷く。ええ子やな。そして、今見つけた瀬良・・・いや、桔梗のいる場所へと俺達は急いだ。
町とは言え、そこここに霊的なものは潜んでいる。地縛霊、とるに足らない雑霊や動物霊、古い物に宿る付喪神、そして、あの桔梗のごとく古い命に宿る霊も浮き上がって視える。
ーなんや・・・?
俺の視覚がひとつのモノを捕らえた。うずくまり、震え、くすんでいる。
普段なら雑霊として、見過ごすほどのものだったが、妙に気になった。
ーいや、今はそれどころやない。
視覚をより広範囲に広げる。あの桔梗はかなり高位の木霊だ、いかに瀬良に憑依しようとも、その気配を消そうとしても・・・完全に隠れきる、ことは不可能だ。
それを見つけて、俺はにやりと笑う。
「おった」
青龍に、それを見張るように告げ、目を開く。
「嬢ちゃん、瀬良の姉ちゃんおったで。一緒に来てくれるか?」
優しく言うと、コクリと頷く。ええ子やな。そして、今見つけた瀬良・・・いや、桔梗のいる場所へと俺達は急いだ。

