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天狐あやかし秘譚
第33章 季布一諾(きふのいちだく)

「なんとなく、ここにくるんやないかな、って思ってん。それに・・・瀬良ちゃんの匂いしたし」
「匂いって!!私そんなに臭くないです!」
瀬良が顔を真っ赤にして怒る。
「臭いなんて言うてへん。ええ匂いやで」
「そういう問題じゃないです!!」
なんか、この二人、すっごく仲良さそうでいいなあと毎回思ってしまう。
まあ、とにかく、土御門は桔梗が玉置を『木霊』に会わせている所、病んだ『木霊』を天に返すところを見ていたと言う。
「ほんまはそのまま襲いかかって、瀬良ちゃんの身体取り戻さな、思ったんやけどな。こいつらが・・・」
そこで、清香ちゃんと芝三郎が止めたのだという。
『桔梗さんは、悪いことしないから!』
その言葉で踏みとどまった、ということらしい。
「結果として、玉置は納得し、病んだ『木霊』は回向されたっちゅーことで、大団円だ。と、言うわけで、この子の中にいる、桔梗、受け取ってくれへん?」
瀬良がお腹をさすっている。そうか・・・まだ彼女の中に桔梗がいるのか。
瀬良が手を差し伸べてくるので、その手を取る。触れ合ったところから、何かが流れ込んでくるような不思議な感じがした。
しゅるん、とお腹の下辺りにそれが収まるのを感じる。
以前、憑依を経験したときと同じだ。私の中に桔梗がいる。
『ただいま、桔梗』
私は心の中で言ってみた。じわりとお腹の中で何かが動いた感じがした。
「匂いって!!私そんなに臭くないです!」
瀬良が顔を真っ赤にして怒る。
「臭いなんて言うてへん。ええ匂いやで」
「そういう問題じゃないです!!」
なんか、この二人、すっごく仲良さそうでいいなあと毎回思ってしまう。
まあ、とにかく、土御門は桔梗が玉置を『木霊』に会わせている所、病んだ『木霊』を天に返すところを見ていたと言う。
「ほんまはそのまま襲いかかって、瀬良ちゃんの身体取り戻さな、思ったんやけどな。こいつらが・・・」
そこで、清香ちゃんと芝三郎が止めたのだという。
『桔梗さんは、悪いことしないから!』
その言葉で踏みとどまった、ということらしい。
「結果として、玉置は納得し、病んだ『木霊』は回向されたっちゅーことで、大団円だ。と、言うわけで、この子の中にいる、桔梗、受け取ってくれへん?」
瀬良がお腹をさすっている。そうか・・・まだ彼女の中に桔梗がいるのか。
瀬良が手を差し伸べてくるので、その手を取る。触れ合ったところから、何かが流れ込んでくるような不思議な感じがした。
しゅるん、とお腹の下辺りにそれが収まるのを感じる。
以前、憑依を経験したときと同じだ。私の中に桔梗がいる。
『ただいま、桔梗』
私は心の中で言ってみた。じわりとお腹の中で何かが動いた感じがした。

