この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
天狐あやかし秘譚
第33章 季布一諾(きふのいちだく)

☆☆☆
数日後の地方紙にこんなニュースが載っていた。
●ーーーーーーーーー●
〇〇線△△駅前の広場にある『市民の木』が病気による内部の空洞化及び腐敗等が進んだため伐採が決まったが、これに反対する一部地域住民と市役所職員との交渉が難航していた。話し合いの末、住民側が譲歩する形で、伐採が行われ、無事に終了した。▼今後、伐採跡地には地域の有志及び市役所側が資金を持ち寄り、記念碑を建てる計画がある他、伐採反対派の代表だった玉置由美子さん(75歳)には、『市民の木』を最後まで見守ったとして、樹木医からこの樹から挿し木で増やした苗木が贈られた。
●ーーーーーーーーー●
「玉置さん、良かったね」
リビングで新聞を広げ、記事を見つけた私はダリに言った。清香ちゃんはソファでうたた寝、芝三郎はテレビを見ていた。
「桔梗も喜ぶかもな」
ダリが言う。そうだ、桔梗さんにも知らせてあげよう。新聞を持って、桔梗のいる和室に行く。相変わらず、桔梗は和室の中央で目を閉じてふわりふわりと浮いていた。一瞬、新聞をそのままお供えしておこうかとも思ったが、桔梗がちゃんと読めるかどうか分からない。
やっぱり直接言ったほうがいいかな?と思って声をかけた。
ぱちっと桔梗の目が開く。
数日後の地方紙にこんなニュースが載っていた。
●ーーーーーーーーー●
〇〇線△△駅前の広場にある『市民の木』が病気による内部の空洞化及び腐敗等が進んだため伐採が決まったが、これに反対する一部地域住民と市役所職員との交渉が難航していた。話し合いの末、住民側が譲歩する形で、伐採が行われ、無事に終了した。▼今後、伐採跡地には地域の有志及び市役所側が資金を持ち寄り、記念碑を建てる計画がある他、伐採反対派の代表だった玉置由美子さん(75歳)には、『市民の木』を最後まで見守ったとして、樹木医からこの樹から挿し木で増やした苗木が贈られた。
●ーーーーーーーーー●
「玉置さん、良かったね」
リビングで新聞を広げ、記事を見つけた私はダリに言った。清香ちゃんはソファでうたた寝、芝三郎はテレビを見ていた。
「桔梗も喜ぶかもな」
ダリが言う。そうだ、桔梗さんにも知らせてあげよう。新聞を持って、桔梗のいる和室に行く。相変わらず、桔梗は和室の中央で目を閉じてふわりふわりと浮いていた。一瞬、新聞をそのままお供えしておこうかとも思ったが、桔梗がちゃんと読めるかどうか分からない。
やっぱり直接言ったほうがいいかな?と思って声をかけた。
ぱちっと桔梗の目が開く。

