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天狐あやかし秘譚
第1章 【第1話 天狐】禍福糾纆(かふくきゅうぼく)

☆☆☆
「し、失礼しまーす」
どうやらお願いのキャンセルが効きそうにないので、自主的に離反を試みた。回れ右をして、ダッシュする。ところが、一の鳥居を抜け、石段を転がるように降り、二の鳥居を抜けたその先に・・・
「な、なんでー!!!」
「おう、主、早かったな」
ダリが座っている賽銭箱の目の前に戻ってきてしまった。
もう一度・・・・!
やはり戻ってくる。
ええーい!もう一度!!
またまた、戻ってきてしまう。
はあ、はあ・・ぜえ、ぜえ・・・
さすがに息が切れた。
もう、走れない・・・。
疲れ果てた私は、ヘナヘナと賽銭箱の前に座り込んでしまう。
「なんじゃ、もうしまいか?しっかし、随分、生きの良いおなごじゃな・・・」
ぴょんと、ダリが賽銭箱から飛び降りた。全く音がしない。ふわりとまるで重さを感じさせないように着地する。
やっぱり人間じゃないよー。えーん。
お尻をぺたんとつけて座り込んでいる私に合わせるようにダリが少しかがむ。顎をクイッと上げ、顔を近づけてくる。私にとって初めての「イケメン顎クイ」が妖怪の手でいともたやすく消費されてしまった。
「し、失礼しまーす」
どうやらお願いのキャンセルが効きそうにないので、自主的に離反を試みた。回れ右をして、ダッシュする。ところが、一の鳥居を抜け、石段を転がるように降り、二の鳥居を抜けたその先に・・・
「な、なんでー!!!」
「おう、主、早かったな」
ダリが座っている賽銭箱の目の前に戻ってきてしまった。
もう一度・・・・!
やはり戻ってくる。
ええーい!もう一度!!
またまた、戻ってきてしまう。
はあ、はあ・・ぜえ、ぜえ・・・
さすがに息が切れた。
もう、走れない・・・。
疲れ果てた私は、ヘナヘナと賽銭箱の前に座り込んでしまう。
「なんじゃ、もうしまいか?しっかし、随分、生きの良いおなごじゃな・・・」
ぴょんと、ダリが賽銭箱から飛び降りた。全く音がしない。ふわりとまるで重さを感じさせないように着地する。
やっぱり人間じゃないよー。えーん。
お尻をぺたんとつけて座り込んでいる私に合わせるようにダリが少しかがむ。顎をクイッと上げ、顔を近づけてくる。私にとって初めての「イケメン顎クイ」が妖怪の手でいともたやすく消費されてしまった。

