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天狐あやかし秘譚
第39章 有備無患(ゆうびむかん)
☆☆☆
え?宿って、ここですか?

土御門に渡されたメモを頼りに訪れた宿は、左右に広がる漆喰の壁の所々に柔らかいオレンジの明かりが灯る、そんな趣のある旅館だった。

瓦葺きの屋根の下、温かな光に照らされる木戸を引くと、玄関まで石畳が続いている。玄関に入ると、女将と思しき着物姿の女性が迎え入れてくれた。

「よう、おこしやす」

土御門から話がいっているようで、名前を名乗っただけで、チェックインなどの手続きをすることもなく、部屋に案内された。

部屋は10畳ほどの上品な和室だった。中央に平机、左手の上の壁には書が飾られており、奥には大きな窓、そして、その手前に、籐の椅子が二脚据えられていた。窓の外にはこれまたきれいな夕暮れに染まる日本庭園が広がっていた。

こ、これは・・・超高級なのでは・・・。

仲居さんが簡単に部屋や食事の案内をしてくれる。まだ私しかいないが、宿泊するのは二人ということになっているようだ。土御門が頼んでいるので、当然のように部屋は一部屋、ダリと一緒だった。

「なにかありましたら、遠慮なくお申し付けください」

そう言って、仲居さんが退室する。私は部屋にひとりぽつねんと残されるが、あまりの高級感に全く落ち着くことができなかった。

部屋の中央にちんまり座って、仲居さんが淹れてくれたお茶をすする。
テレビでも・・・見ようかな・・・。

だが、関西地方だということもあり、あまり見慣れぬ番組ばかりだった。早々にテレビ鑑賞も切り上げてしまう。時計を見ても、食事まではあと1時間近くある。うろうろと部屋の中を意味もなく探索してみた。

お風呂は湯船から床から天井から全て木でできていた。仲居さんは『高野槙で出来てるんですよ』と言っていた。お湯が柔らかくなる、とのことだった。
部屋に置いてあるひとつひとつのもの、作りからして、すごすぎる・・・。

一瞬、自分のスマホでこの宿の一泊お値段調べちゃおうかとか思ったが、見て目玉が飛び出ても別に何ができるわけではないので、やめてしまった。

そして、探索もあっという間に終わり、時間をめちゃくちゃ持て余してしまっていた。

だ・・・ダリ・・・。どこに行ってるのよ!もう!
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