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天狐あやかし秘譚
第40章 一殺多生(いっさつたしょう)

ダリが私の耳元に口を近づけてくる。周囲を見ないまま、襲いかかる赤咬病患者を右手一本でいなしているのはさすがというよりほかない。
「・・・・してよいか?」
耳元で囁かれた言葉に私の顔面はこれ以上ないほど紅潮する。
な・・・なんてことを!!
「そ・・・それじゃなきゃダメなの!?」
人の足元を見てからに!!!
「昨日の綾音が可愛らしかったものでな・・・嫌ならいいのだが?」
ダリはそんな私の葛藤を見透かすように目を細めて、笑っている。
「な!なんや・・・綾音はん!方法あるならはよしてな!
殺してええんなら簡単やが、このままじゃ結界張ることもできん!」
土御門が悲鳴を挙げる。
土御門も瀬良も、術を発動しようにも、集中させてくれる暇もないほどの攻撃にさらされ、ジリジリと体力を削られている状態だ。
このピンチの状況を分かっていて・・・分かってて、私にあんな・・・こと・・・させろ・・・って。
「早よしてぇ!」
「綾音さん!早く!!」
ぐぐぐ・・・
だ・・・ダリめぇ!
「だーっ!分かった・・・わよ!し・・・していいから!
早くなんとかしてあげて!!」
いいけど、いいけどさ・・・
い・・・痛くしないでよ?!
「承知」
顔を伏せたダリの前髪が顔にかかり、その表情が一瞬見えなくなる。
嗤った・・・?と思ったその瞬間、
疾風があたりを吹き抜けた。
いや、違う。ダリが風のように早く移動し、
移動しながら次々に忍者のごとく跳ね回る赤咬病患者たちの延髄に手刀を叩き込み、昏倒させていったのだ。
刹那、と表現するにふさわしいほどの時間しかかからなかった。
ぱたり、ぱたりと患者達が事切れて倒れていく。
皆、一様に白目を剥き、糸の切れたマリオネットのように崩れ落ちていった。
「妖力を・・・使うまでもない」
え?今・・・なんて?
「だ・・・ダリ!?妖力使ってないなら・・・いないなら!!」
エッチとかいらないじゃん!契いらないじゃん!
「誰が妖力のためにと言った?
我は純粋に、主を求めておるだけじゃ」
しれっといいやがる。
だ・・・騙されたああ!!!
若干、ニヤニヤしているところを見ると、ダリがこの一連の会話をわざとやっているのは明白だ。
「・・・・してよいか?」
耳元で囁かれた言葉に私の顔面はこれ以上ないほど紅潮する。
な・・・なんてことを!!
「そ・・・それじゃなきゃダメなの!?」
人の足元を見てからに!!!
「昨日の綾音が可愛らしかったものでな・・・嫌ならいいのだが?」
ダリはそんな私の葛藤を見透かすように目を細めて、笑っている。
「な!なんや・・・綾音はん!方法あるならはよしてな!
殺してええんなら簡単やが、このままじゃ結界張ることもできん!」
土御門が悲鳴を挙げる。
土御門も瀬良も、術を発動しようにも、集中させてくれる暇もないほどの攻撃にさらされ、ジリジリと体力を削られている状態だ。
このピンチの状況を分かっていて・・・分かってて、私にあんな・・・こと・・・させろ・・・って。
「早よしてぇ!」
「綾音さん!早く!!」
ぐぐぐ・・・
だ・・・ダリめぇ!
「だーっ!分かった・・・わよ!し・・・していいから!
早くなんとかしてあげて!!」
いいけど、いいけどさ・・・
い・・・痛くしないでよ?!
「承知」
顔を伏せたダリの前髪が顔にかかり、その表情が一瞬見えなくなる。
嗤った・・・?と思ったその瞬間、
疾風があたりを吹き抜けた。
いや、違う。ダリが風のように早く移動し、
移動しながら次々に忍者のごとく跳ね回る赤咬病患者たちの延髄に手刀を叩き込み、昏倒させていったのだ。
刹那、と表現するにふさわしいほどの時間しかかからなかった。
ぱたり、ぱたりと患者達が事切れて倒れていく。
皆、一様に白目を剥き、糸の切れたマリオネットのように崩れ落ちていった。
「妖力を・・・使うまでもない」
え?今・・・なんて?
「だ・・・ダリ!?妖力使ってないなら・・・いないなら!!」
エッチとかいらないじゃん!契いらないじゃん!
「誰が妖力のためにと言った?
我は純粋に、主を求めておるだけじゃ」
しれっといいやがる。
だ・・・騙されたああ!!!
若干、ニヤニヤしているところを見ると、ダリがこの一連の会話をわざとやっているのは明白だ。

