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天狐あやかし秘譚
第41章 狂瀾怒濤(きょうらんどとう)

声を上げた真白に、颯馬が何某か応えようとした矢先、真白達が走ってきた方向・・・名越の家の方から土御門達が追いついてきたのが見えた。
「おっと、いいところだったのに。
陰陽師殿のお出ましか・・・」
ちっ、と舌打ちをする。
「シラクモ!!」
颯馬が叫ぶと、木の上から白髪で抜けるような白い肌を持った小柄な男が飛び降りてきた。どうやら最初から樹上にいて様子をうかがっていたようだった。
「やっちゃっていいの?」
シラクモと呼ばれた男は、右手で自分の肩から掛けている白い布ー領巾ーを弄る。ぺろりと真っ赤な舌でやはり赤々とした唇を舐め上げた。
「殺して構わない」
颯馬が言うと、許可を得たとばかりに、シラクモは鉄研たちと、追いすがってくる土御門たちとの間に立ちふさがる。
「なんや!お前!」
唐突に樹上から現れ、自分らに対して明らかに敵対的な態度を取る白髪の少年に対して、土御門が鋭く誰何する。
それに応える代わりに、にやりと赤く嗤うと、シラクモは右手を水平に払いのけるような仕草をする。
「虫たちよ!!」
その声とともに、腕の軌道に沿って空間が黒く割ける。そして、その裂け目から大量の昆虫が溢れ出した。
「喰らい尽くせ!!」
その声を合図に、虫たちが一斉に土御門たちに襲いかかった。
「なんや!ありゃ!」
「土御門様!」
土御門が立ち止まり、背負っている剣袋に手をかける。それと同時に瀬良がしゃがみ込み、地面に手をついた。
「南山土公 赤壁に跪拝せよ」
五公クラスの土の結界術式だ。短い呪言詠唱で展開できるが、強度はそれほど強くはない。
しかし、昆虫の突進くらいならいなせるはず。
地面から不可視の半円形の壁が立ち上がり、土御門と自分らを覆う。
「さすが瀬良ちゃん」
瀬良が結界を展開する間に、土御門は袋から剣を取り出し、鞘走らせていた。
「権能示せや・・・蛇之麁正(おろちのあらまさ)!」
不可視の壁に無数の虫たちが衝突してくる。その様子はまるで猛烈な嵐の中をコンビニのビニール傘一本で歩いているかのような心細さを感じさせる。
「こ・・・これ・・・!」
あたかも散弾銃の連続射撃を受けているかのように、虫たちは無限に湧き上がり、狂ったように結界に衝突してくる。ついに、結界がミシリと音を立て、細かにひび割れ始めた。
ー嘘でしょ!?
「おっと、いいところだったのに。
陰陽師殿のお出ましか・・・」
ちっ、と舌打ちをする。
「シラクモ!!」
颯馬が叫ぶと、木の上から白髪で抜けるような白い肌を持った小柄な男が飛び降りてきた。どうやら最初から樹上にいて様子をうかがっていたようだった。
「やっちゃっていいの?」
シラクモと呼ばれた男は、右手で自分の肩から掛けている白い布ー領巾ーを弄る。ぺろりと真っ赤な舌でやはり赤々とした唇を舐め上げた。
「殺して構わない」
颯馬が言うと、許可を得たとばかりに、シラクモは鉄研たちと、追いすがってくる土御門たちとの間に立ちふさがる。
「なんや!お前!」
唐突に樹上から現れ、自分らに対して明らかに敵対的な態度を取る白髪の少年に対して、土御門が鋭く誰何する。
それに応える代わりに、にやりと赤く嗤うと、シラクモは右手を水平に払いのけるような仕草をする。
「虫たちよ!!」
その声とともに、腕の軌道に沿って空間が黒く割ける。そして、その裂け目から大量の昆虫が溢れ出した。
「喰らい尽くせ!!」
その声を合図に、虫たちが一斉に土御門たちに襲いかかった。
「なんや!ありゃ!」
「土御門様!」
土御門が立ち止まり、背負っている剣袋に手をかける。それと同時に瀬良がしゃがみ込み、地面に手をついた。
「南山土公 赤壁に跪拝せよ」
五公クラスの土の結界術式だ。短い呪言詠唱で展開できるが、強度はそれほど強くはない。
しかし、昆虫の突進くらいならいなせるはず。
地面から不可視の半円形の壁が立ち上がり、土御門と自分らを覆う。
「さすが瀬良ちゃん」
瀬良が結界を展開する間に、土御門は袋から剣を取り出し、鞘走らせていた。
「権能示せや・・・蛇之麁正(おろちのあらまさ)!」
不可視の壁に無数の虫たちが衝突してくる。その様子はまるで猛烈な嵐の中をコンビニのビニール傘一本で歩いているかのような心細さを感じさせる。
「こ・・・これ・・・!」
あたかも散弾銃の連続射撃を受けているかのように、虫たちは無限に湧き上がり、狂ったように結界に衝突してくる。ついに、結界がミシリと音を立て、細かにひび割れ始めた。
ー嘘でしょ!?

