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天狐あやかし秘譚
第41章 狂瀾怒濤(きょうらんどとう)
「親父殿のためにわざわざこの村に持ってきてやったんだ。
 困っていると思ってさ」

「貴様・・・よくも・・・!」
鉄研が、ギリっと奥歯を噛みしめる音が聞こえそうなほどの歯ぎしりをする。

「おっと、これを返せなんて言うのはなしだぜ?
 少なくとも、俺はこれがなきゃ死んじまう・・・
 でも、真白は・・・なあ・・・死なないだろ?」

颯馬はチェーンで首から下げている勾玉のようなものを示してみせた。光の加減か、その表面は白と灰色の文様がウネウネとうねりを上げて動いているように見えた。

「か・・・返せ!!」
掴みかかってくる鉄研を颯馬がバックステップで躱す。そのまま素早く半回転すると、つんのめりそうになった鉄研の首根っこを押さえ、地面に体を叩きつけた。

「だから、言いっこなしって言ったでしょ?
 これを受け継ぐ権利は俺にだってあるだから」

「な・・・何を・・・。それは、その宝玉は女児が受け継ぐと決められているんだ。それを貴様・・・!」

颯馬は、はあ・・・とため息をついた。軽く頭を振って悲しそうな顔をする。しかし、そのすべてが芝居がかっていて、わざとらしい。

「あーあ・・・それが実の息子に言う事?
 前にも言ったよね?知ってるよね?
 俺、死んじゃうの・・・これないと・・・さ
 なのに、ああ!悲しいなあ・・・親父殿は
 親父殿は俺に死ねと!?」

掌で目を覆い、泣いているフリをして見せる。
「俺も悪いと思ってるよ?
 足玉ないと、真白は・・・ねえ?
 だからさ、こうして品々物之比礼、持ってきてやったじゃん?
 親父殿がこれを使えば、円満解決なわけよ。
 ただ・・・まあ、適合者じゃない親父殿は、
 一度使ったら、死んじゃうと思うけど・・・」

言うと、颯馬はクスクスと笑いはじめ、やがて大笑いし始める。そして、最後には哄笑に至る。立ち上がると、鉄研を足先で思い切り蹴飛ばした。

「お父様!」
真白が鉄研に駆け寄る。腹を押さえ、鉄研が震えながらなんとか身体を引き起こす。その手に、領巾を握る。

「そうそう・・・使えよ・・なあ。
 あんたらにとっちゃ、家の存続が大事なんだろ?!
 だったら、そうしろよ。命かけてさ!」
「お父様、ダメ!・・・兄様!兄様!・・・やめて・・・」
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