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天狐あやかし秘譚
第41章 狂瀾怒濤(きょうらんどとう)

まだ結界を張ってから30秒くらいしか経っていない。
いかに呪具を使わず、呪言も省略した結界とは言え、その強度は七星辰クラスに継ぐ、『五公』の結界だ。しかも、土の結界術式は五行の他の要素で作る結界よりも遥かに高い強度を誇る。乙種のあやかしの攻撃であっても、数分は凌げるはずなのに!
それだけこの昆虫たちの衝突の威力が凄まじいことを意味する。
単調で、単純なだけに、威力が半端ない。
おそらく、品々物之比礼を奪った際にいたのもこいつだ・・・。
「土御門様!結界が保ちません」
たまらず悲鳴を上げる。
土御門は、瀬良の結界がこの攻撃の中、それほどもたないことを瀬良自身より早く承知していた。なので、蛇之麁正を霞に構え、すでに次の攻撃の準備を始めていた。
「武荅天神(むとうてんじん)、婆梨妻女(はりさいめ)、
八王子奉請して白して言わく、
急ぎ上酒を掲げ再拝、再拝せよ
生広天王(しょうこうてんおう)、魔王天王(まおうてんのう)、
倶摩羅天王(くらまてんのう)、 達你迦天王(たつにてんのう)、
蘭子天王(らんしてんのう)、徳達天王(とくたつてんのう)
神形天王(じんぎょうてんのう)、三頭天王(さんずてんのう)
慎み敬いてもの申す
白きの御門(みかど) その権能を欲す
急ぎ急ぎてここにてふるへ」
呪言の奏上に応え、キイイイィンと、土御門の持つ蛇之麁正が光を纏い、毎秒数千という高い振動数で震え、力を蓄える。
「ええで・・・瀬良ちゃん!」
言われなくても、もう保ちませんから!
瀬良が結界を解除する。バリンと大きな音を立て、土公結界が爆ぜた。
「行けや、蛇之麁正・・・」
蛇之麁正が纏う光が最高潮に達するのと結界が爆ぜるのは同時だった。そして、結界に流れ込んだ虫たちは、剣が発する光に焼かれ、霧消する。
そのまま土御門が剣を横薙ぎに振るった。
ぶううぅうん!
奇妙な振動音を発しながら、巨大な高周波の斬撃が虫たちを蹴散らしながら空を走る。空気の微細な震えは凶器となり、眼前の虫たちをすべて消し去ってしまう。
っ?!
いかに呪具を使わず、呪言も省略した結界とは言え、その強度は七星辰クラスに継ぐ、『五公』の結界だ。しかも、土の結界術式は五行の他の要素で作る結界よりも遥かに高い強度を誇る。乙種のあやかしの攻撃であっても、数分は凌げるはずなのに!
それだけこの昆虫たちの衝突の威力が凄まじいことを意味する。
単調で、単純なだけに、威力が半端ない。
おそらく、品々物之比礼を奪った際にいたのもこいつだ・・・。
「土御門様!結界が保ちません」
たまらず悲鳴を上げる。
土御門は、瀬良の結界がこの攻撃の中、それほどもたないことを瀬良自身より早く承知していた。なので、蛇之麁正を霞に構え、すでに次の攻撃の準備を始めていた。
「武荅天神(むとうてんじん)、婆梨妻女(はりさいめ)、
八王子奉請して白して言わく、
急ぎ上酒を掲げ再拝、再拝せよ
生広天王(しょうこうてんおう)、魔王天王(まおうてんのう)、
倶摩羅天王(くらまてんのう)、 達你迦天王(たつにてんのう)、
蘭子天王(らんしてんのう)、徳達天王(とくたつてんのう)
神形天王(じんぎょうてんのう)、三頭天王(さんずてんのう)
慎み敬いてもの申す
白きの御門(みかど) その権能を欲す
急ぎ急ぎてここにてふるへ」
呪言の奏上に応え、キイイイィンと、土御門の持つ蛇之麁正が光を纏い、毎秒数千という高い振動数で震え、力を蓄える。
「ええで・・・瀬良ちゃん!」
言われなくても、もう保ちませんから!
瀬良が結界を解除する。バリンと大きな音を立て、土公結界が爆ぜた。
「行けや、蛇之麁正・・・」
蛇之麁正が纏う光が最高潮に達するのと結界が爆ぜるのは同時だった。そして、結界に流れ込んだ虫たちは、剣が発する光に焼かれ、霧消する。
そのまま土御門が剣を横薙ぎに振るった。
ぶううぅうん!
奇妙な振動音を発しながら、巨大な高周波の斬撃が虫たちを蹴散らしながら空を走る。空気の微細な震えは凶器となり、眼前の虫たちをすべて消し去ってしまう。
っ?!

