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天狐あやかし秘譚
第41章 狂瀾怒濤(きょうらんどとう)
☆☆☆
風が、通り過ぎた。

そう感じたときには、すでに景色がぐるりと上下逆さまになっていた。
首を落とされたのだ、と気づくのに、2秒ほどかかった。

ー何をされた!?

あの狐の姿がゆらりと揺れたと思ったら、風を感じ、一瞬で切られていた。

しかし、理解した刹那
景色は正位置に戻っていた。

痛みを感じるより早く、首は完全に復元していた。

「ほう」

背後で狐が声を上げた。それほど驚いていないところを見ると、『足玉』の持つ力について知らないわけではないようだ。

名越颯馬・・・シラクモが言うところの『イタツキ』が使う神宝の名は『足玉(たるたま)』。生き物の根源的な力である『生命力』を自在に増強できる。特に使用者に対しては常にその権能が発現しているため、基本的に不死になる。

ーこの狐・・・強い!

生命力を高める力があるとは言え、同じ神宝である『生玉』のように、身体能力そのものが強化されるわけではない。あくまでも通常の人間が不死になった・・・ということなのだ。

通常の術者であれば不死の力で押し切ることもできるが、この狐相手ではそんなゴリ押しは通用しないだろう。

ーならば・・・

俺はシラクモに向かって走る。そして、その肩に手を触れ、そこから足玉の力を流し込む。

「おおおおお!!!」

シラクモの体の状態が一瞬にしてベストコンディションに戻る。
ちょっとチートな技だが、この『足玉』はRPGで言うところの『回復魔法』のような使い方もできる。しかもゲームバランスを壊しかねない『ノーリスクでの瞬間全治癒』というやつである。

「シラクモ!行け!!」

立ち上がったシラクモが再び彼の持つ神宝『蜂肩巾』の力を全開にする。
彼の持つ蜂肩巾は無限に昆虫を召喚し、それを自在に操ることができる。能力自体はシンプルだが、シンプルが故に破り難い能力だ。昆虫たちの突進は厚さ1メートルのコンクリ壁ですら数秒で貫通するだけの威力がある。

彼の周囲に4つの黒い裂け目が発生し、無数の昆虫が溢れ出た。

「なんや!」

四つの裂け目から四方に散った虫たちが、四箇所を同時に襲う。
ひとつは、正面にいる剣を使う男陰陽師、仲間からは『土御門』と呼ばれていたか?と、その横に控える女陰陽師。
もうひとつは、俺の背後にいる狐。
そして、少し離れたところにいたもう一人の女陰陽師にも・・・。
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