この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
天狐あやかし秘譚
第41章 狂瀾怒濤(きょうらんどとう)
「綾音!」
狐が離れたところにいた女陰陽師のものと思しき名を叫ぶ。爆発的な音がしたかと思うと、俺の後ろで虫たちが弾け飛び、一瞬の内に移動した狐が女陰陽師の前に降り立ち、槍を振るう。槍の力だろうか、そのたった一薙で数千の虫たちがきれいに消し飛ぶ。

どうやらあの「綾音」という術者が狐のアキレス腱のようだ。使役者なのかもしれない。

ならば・・・!

「シラクモ!あの女だ!あいつを沈めろ!」
同時に、俺は大地に手をつく。

「ふるへ・・・足玉・・・
 ゆらゆらと・・・」

首から下げた足玉が鈍い光を放った。
メリっと嫌な音を立て、周囲の大地がひび割れ、割ける。
その割れ目から一斉に植物の根が伸び、大蛇のごとくのたうち回った。

大地の下にある植物たちに強制的に生命力を与え、その成長を暴走させる。
俺の持つ、唯一といっていい攻撃手段だ。
植物の根は土御門、その横の女陰陽師を捉え、狐と狐が守る綾音という女にも襲いかかる。
無数の虫と大地から這い上がる無数の触手が如き植物の根・・・

ひねり・・・潰されろ!

足玉にせよ、蜂肩巾にせよ、神宝の持つ最大の力はこの無限の物量だ。
たとえどんなに強い力を持とうとも所詮は人間や妖怪は『有限』の存在だ。神の持つ『無限』には敵わない。

ーこのまま、一気に押し切ってやる!

足玉の力をさらに大地に流し込む。木々の根が流し込まれた大量の生命力を吸収しきれず、歪に膨れ上がり、所々で爆ぜた。

それと同時にシラクモも、穿った四つの裂け目から溢れ出る全ての昆虫の奔流を、綾音めがけて集中させる。

ーこれだけの量・・・いかにあの狐が強かろうが

引き潰すことができる・・・そう確信していた。
しかし・・・

狐がにやりと赤く嗤う。
持っている槍の石づきを大地に突き刺し、何事か呪言を奏上する。

刹那、晴れているはずの天から雷光が落ちてくる。その雷光は突き立てた槍の穂先に落ち、八条の稲妻となって周囲の空間を穿った。

稲妻は虫たちを一瞬で消し炭にし、盛り上がった植物の根を寸断する。
そして、そのままシラクモと俺の胸を貫いた。

「がはぁ・・・」

身体の内側を特大のハンマーで叩かれたような衝撃に、一瞬で意識が持っていかれる。足玉のお陰で身体は死ぬことはないが、精神がついていかない。
俺は、膝をついてしまう。

『金剛縛鎖!』
/726ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ