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天狐あやかし秘譚
第44章 捲土重来(けんどちょうらい)

目を閉じ、視覚を青龍と共有する。俺の視点も青龍とともに遥か上空に昇り、そこから下を見下ろすような形になる。そして、その視野はあたかも赤外線スコープで夜の森を眺めているようになっていた。すでに、視覚モードを切り替え、霊力を主として検知するものにしてあるためだ。
強い霊力を内に秘めている疱瘡神を抱えている以上、青龍のこの視野から逃れられる訳が無い。
ただ・・・まあ・・・
ぶうううん・・・
青龍がいるあたり。その周辺全体から羽音が響き始める。視覚を半分だけ通常に戻すと、周囲に無数の虫が飛び交うのが視えた。
そうくるわな・・・。
飛び交っているのは猛毒のオオスズメバチ。数こそ先程の雑多な虫たちよりは少ないものの、大群と言っていいほどの量だ。数量を犠牲にして、質を上げてきたといったところか・・・。
だが・・・十二天将、軽く見すぎやろ。
「四神吉祥 害気を攘払し 雷光奇道 四隅八隅 輝魏霊龍の権能示せ」
呪言の奏上に呼応して、宙空で青龍が大きくのけぞり吠えた。そのままブルンと身をひとつよじると体表が光り輝き、あたりに雷光を撒き散らす。
「ぐあおおあおおおおおおおおお!」
周囲を飛び交うスズメバチの群れが青龍の咆哮により飛行を乱され、そこに襲いかかる雷撃で次々に撃ち落とされていく。
「きゃあ!」
後ろで可愛らしい声で悲鳴あげてるのは、綾音だな?まあ、あいつはほっといても天狐が守るだろうからいいとして、うちの瀬良ちゃんは?
少しだけ青龍の視野を自分の方に向ける。瀬良は青龍の方を一瞥することもなく、周囲に対して警戒の気を放ち続けていた。
さすが・・・俺のパートナー・・・。愛してるで!瀬良ちゃん!
俺は青龍の視野を敵がいると思われる方向に戻す。木々の間にひとつ、ふたつと強い霊力が浮かび上がっているのが視認できた。
100メートルほど行った先に淡い光が見える。これは大した霊力ではないところを見ると、おそらく名越鉄研・・・。まだ気絶していると見え、横たわっているようだ。
その傍らにいるひときわ大きな光を放つ存在。・・・間違いなく疱瘡神である真白のものだろう。そして、その傍らに、中等度の霊力と胸のあたりに強い光を放つ何かを下げている人間がいる。これは神宝を身につけた颯馬に違いない。
あと・・・あの白髪男はどこだ?
強い霊力を内に秘めている疱瘡神を抱えている以上、青龍のこの視野から逃れられる訳が無い。
ただ・・・まあ・・・
ぶうううん・・・
青龍がいるあたり。その周辺全体から羽音が響き始める。視覚を半分だけ通常に戻すと、周囲に無数の虫が飛び交うのが視えた。
そうくるわな・・・。
飛び交っているのは猛毒のオオスズメバチ。数こそ先程の雑多な虫たちよりは少ないものの、大群と言っていいほどの量だ。数量を犠牲にして、質を上げてきたといったところか・・・。
だが・・・十二天将、軽く見すぎやろ。
「四神吉祥 害気を攘払し 雷光奇道 四隅八隅 輝魏霊龍の権能示せ」
呪言の奏上に呼応して、宙空で青龍が大きくのけぞり吠えた。そのままブルンと身をひとつよじると体表が光り輝き、あたりに雷光を撒き散らす。
「ぐあおおあおおおおおおおおお!」
周囲を飛び交うスズメバチの群れが青龍の咆哮により飛行を乱され、そこに襲いかかる雷撃で次々に撃ち落とされていく。
「きゃあ!」
後ろで可愛らしい声で悲鳴あげてるのは、綾音だな?まあ、あいつはほっといても天狐が守るだろうからいいとして、うちの瀬良ちゃんは?
少しだけ青龍の視野を自分の方に向ける。瀬良は青龍の方を一瞥することもなく、周囲に対して警戒の気を放ち続けていた。
さすが・・・俺のパートナー・・・。愛してるで!瀬良ちゃん!
俺は青龍の視野を敵がいると思われる方向に戻す。木々の間にひとつ、ふたつと強い霊力が浮かび上がっているのが視認できた。
100メートルほど行った先に淡い光が見える。これは大した霊力ではないところを見ると、おそらく名越鉄研・・・。まだ気絶していると見え、横たわっているようだ。
その傍らにいるひときわ大きな光を放つ存在。・・・間違いなく疱瘡神である真白のものだろう。そして、その傍らに、中等度の霊力と胸のあたりに強い光を放つ何かを下げている人間がいる。これは神宝を身につけた颯馬に違いない。
あと・・・あの白髪男はどこだ?

