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天狐あやかし秘譚
第44章 捲土重来(けんどちょうらい)
☆☆☆
「やったか?イタツキ?」

スタン、と樹上からシラクモが降り立った。俺は多量の土砂で埋もれ、もうもうと土煙が上がる穴を凝視していた。

「ああ・・・多分・・・」

20メートルの穴に一気に周囲の地面を崩して土砂をなだれ込ませた。その重さは1万トン弱になるはずだ。降り注いだ衝撃を凌いだとしても、生き埋めになるだろう。人間ならひとたまりもないはず。

だけど・・・

あの神狐は・・・どうだ?

「おい!イタツキ!これからどうすんだよ!」
呆けたように考え事をしていた俺に苛立ち、シラクモが声を荒げた。

「あ・・・ああ。早くここから離れよう・・・」

やっぱり神狐が心配だ。
早く安全なところまで逃げて、そこで体勢を立て直そう。

さっきの土砂崩れの振動のせいか、真白が目を覚ました。俺は彼女を助け起こし、手を繋いでいる状態だ。真白自身も本能的に俺と手を繋いでいないと、先程のように疱瘡神の力が溢れ出てしまうことをどうやら悟っているようで、大人しく手を繋がせていた。

「こいつはどうする?」
シラクモが未だ気絶している親父を足で蹴飛ばした。
「そいつは置いてく。使い道がなくなった」

後ろには陰陽師たちの結界がある。この結界がどこまで広がっているかわからない。最悪のケースを考えれば、ぐるりと村を取り囲まれている可能性も考慮しなくてはならない。

いや、十中八九そうなっていると考えるべきだろう。

敵にとって、疱瘡神である真白は何があってもこの村から外に出したくないはずだ。だとすると、この結界が土の中にまで浸透していないことを願って穴でも掘って逃げるしかない・・・か?

どう逃げるにせよ、ここから離れるのが先決だ。

「シラクモ、虫を呼べ。ここを離れる」
この山は村の北側に位置する。南側の峠道はすでに閉鎖されているに違いない。だとすれば、東の山側から逃げるか、西の川沿いに下るか。

シラクモが体の前と、足元に『穴』を穿つ。足元の穴には先程まで地面に穴を掘っていたケラなどの虫が地面から湧き上がり吸い込まれるようにして消えていく。そして、体の前の穴からは大量の虫達がたちまち湧き上がっていった。

「なるほどね・・・無尽蔵に出せるけど、無尽蔵に操れるわけやない・・・ってところやな?」
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