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第44章 捲土重来（けんどちょうらい）

そのまま、ゆっくりと穴の底に降下してくれた。穴の深さは20メートルには達していた。あのまま落ちていたら天狐はともかく人間である俺達はただでは済まなかっただろう。

宙吊りのまま降下して、やっと足が地上について、やれやれとひと心地。はあ、はあ、ぜえ、ぜえ・・・息はすっかり切れていた。

「だ・・・大丈夫ですか？土御門様」

さすがの瀬良も心配してくれている。しかし、助けてもらって何だけど、なんちゅう助け方だ！女たちとの差が激しすぎる！

「おま・・・も少し・・・」
こっちにも気い遣えや！と言おうとした声が、天狐のものと重なる。
「来るぞ」

ん？

一瞬穴の上から差す光が遮られたので、ふと振り仰ぐと、穴に大量の土砂が流れ込む様子がスローモーションのように見えた。やば！と思った瞬間、爆音とともに大量の土砂が俺達に降り注ぐ。

墜落死やなくて、生き埋めにする気かい！

そんなツッコミを口にする前に、俺の視界は土砂で埋め尽くされていった。