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天狐あやかし秘譚
第45章 奸佞邪智(かんねいじゃち)
「土公 南斗 石寂にして 開門、休門、傷門に 歳破神 鑠鑠(しゃくしゃく)と坐せ」

地面から不可視の壁が球状にせり上がり、私達を覆い尽くした。さきほどはダリの結界に守られていたが、今は自分たちでなんとかしなければいけない。ダリたちは疱瘡神への対応で手一杯だろうからだ。

「疱瘡神は水気由来です。土剋水、と言うくらいですから、土公結界はほかよりも効果的なはずです」

土公結界・・・。

確か瀬良の講義によれば、結界術は『月令クラス、五公クラス、七星辰クラス、四神クラス』の4段階があるとのことだった。この結界術のランクは、その力をどこから借りるかに依存しており、もちろん上のクラスになるほど強力かつ効果範囲も広くなる。じゃあ、一番上のやつをいつも使えばいいじゃん、と思うのだが、そうでもない。同じクラスでも儀式に時間をかけ、呪具や呪言を豊富にするほど効力が増すものだが、クラスが上になるほど発動させるだけでも、時間、呪言、呪具、そして使用者の力量を多量に必要とする。

つまり、上のクラスの結界術は手間がかかり、すぐに張ることが必要な場面では実用的ではないのである。

ちなみに、今、瀬良が使った土公結界は下から二番目の五公クラスに属する結界術だ。

『戦闘中など、時間が限られている中、五公クラスの結界は特に優れています。強度もあり、最悪短い呪言のみでも展開することが出来ます。加えて、簡易な呪具でもその効力を強める事ができますから』

こんな風に瀬良は講義で語っていた。
五公クラスの結界は取り回しが良く、戦闘中には多くの陰陽師がこれに頼るという。要は時間とパフォーマンスのバランスが優れているのだ。

この五公クラスの結界のひとつ『土公結界』を瀬良は、地面そのものを媒介に、少し長めの呪言で強度を補って使ったのだろう。更に刀印を結び、追加で呪言を奏上し続ける。継続的に呪力を注ぐことで、結界の補強を行っているのだ。

こういうとき私はなんの役にも立たない。眼の前ではダリと土御門が疱瘡神と化した真白とそれが生み出した眷属・疫鬼を相手取り、命がけの戦いを繰り広げようとしている。そして、瀬良は私を守るために結界を張ってくれている。

ああ・・・無力な自分が情けない・・・。
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