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天狐あやかし秘譚
第45章 奸佞邪智(かんねいじゃち)

でも、そんなこと言っても、今ここにいる中で力のない人間は私だ・・・けじゃない!
そうだ・・・!名越鉄研さんや、足玉を失った颯馬さんはどうなのだろう?彼らはなんの防御策もないままに疱瘡神の瘴気に晒されているのではないだろうか?
私は慌てて彼らの方に目をやった。
ちょうど私達が入るところから、真白の背後に名越鉄研がいる。鉄研は大きな木にもたれ、腰が抜けているのか、ガタガタ震えたまま動くことが出来ないでいた。ただ、その肌色や様子から病気になっている感じはない。また疫鬼も彼を『戦力外』とみなしているのか、襲いかかることはしていない。
疫鬼が襲っているのは主にダリと土御門である。どうやら、強い力を持つものを認識して自動的に襲いかかっている、ようだった。
颯馬は私達から見て、真白の右後ろにいた。こちらの状態は悪そうだ。疱瘡神の間近にいるせいだろうか。それとも、もともと持っていると言っていた病気を押さえられなくなったせいだろうか。とにかく、顔色がどんどん悪くなり地面に両手をついてあえぐように呼吸をしている。先程より頭髪の色が抜け、肌にシワが増え、その姿は、あたかも急速に年老いていっているかのように見える。
赤咬病ではない、何か別の病気に侵されている。
そう私には見えた。
とにかく、あのまま颯馬があそこにいたら生命の危険があるのではないか、と思わせるに十分な変化だった。
そうだ・・・!名越鉄研さんや、足玉を失った颯馬さんはどうなのだろう?彼らはなんの防御策もないままに疱瘡神の瘴気に晒されているのではないだろうか?
私は慌てて彼らの方に目をやった。
ちょうど私達が入るところから、真白の背後に名越鉄研がいる。鉄研は大きな木にもたれ、腰が抜けているのか、ガタガタ震えたまま動くことが出来ないでいた。ただ、その肌色や様子から病気になっている感じはない。また疫鬼も彼を『戦力外』とみなしているのか、襲いかかることはしていない。
疫鬼が襲っているのは主にダリと土御門である。どうやら、強い力を持つものを認識して自動的に襲いかかっている、ようだった。
颯馬は私達から見て、真白の右後ろにいた。こちらの状態は悪そうだ。疱瘡神の間近にいるせいだろうか。それとも、もともと持っていると言っていた病気を押さえられなくなったせいだろうか。とにかく、顔色がどんどん悪くなり地面に両手をついてあえぐように呼吸をしている。先程より頭髪の色が抜け、肌にシワが増え、その姿は、あたかも急速に年老いていっているかのように見える。
赤咬病ではない、何か別の病気に侵されている。
そう私には見えた。
とにかく、あのまま颯馬があそこにいたら生命の危険があるのではないか、と思わせるに十分な変化だった。

