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天狐あやかし秘譚
第47章 猪突猛進(ちょとつもうしん)
♡ーーーーー♡
【猪突猛進】目標に向かって全力で進むこと。
イノシシって眼の前しか見てなくて、真っすぐ進んじゃうんだよね、みたいな。
♡ーーーーー♡

そう、私とお兄ちゃんの歪んだ愛の日々は、決して長くは続かなかった。
いや、続けることができなかったのだ。

お兄ちゃんの病状は日に日に悪くなっていった。
逞しかった腕は更にやせ細り、肌も老人のようにシワシワになっていく。
白髪が増え、風邪を引いて寝込むこともますます多くなった。

お兄ちゃんが風邪をひくと、私は近寄らせてもらえなくなる。
当然、セックスもできない。私はお兄ちゃんの部屋の近くまで行って、回復を祈ることしか出来なかった。

そんなある日、学校に『民話がたり』のボランティアの人が来てくれたことがあった。その人はまだ若くて、大学生くらいかな?と思うような男の人だった。別に格好良くもない、悪くもない、なんということのない、普通の男性だった。

ただ、普通『民話がたり』というのは地元のおじいちゃんとか、おばあちゃんが来てくれることが多いので、若い男の人なんだ・・・と疑問に思った記憶はあった。
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