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天狐あやかし秘譚
第47章 猪突猛進(ちょとつもうしん)

☆☆☆
なんということのない、昔話だった。
ただ、『足玉』というものには興味を惹かれる。もし、本当にそんな神様の宝があるなら、お兄ちゃんの病気を全部治せるかもしれない。
そんな夢みたいなことがあればどんなに素晴らしいことだろう。
私は夢想せずにはいられなかった。
お話が終わった後、クラスのある男の子が質問をした。
「せんせーい!疱瘡神は完全にいなくなったんですかぁー!?」
「いい質問だ・・・。実は、疱瘡神は封印されただけで、いなくなったわけではないと言われているんだ。疱瘡神は、その巫女の体の中で生き続けていた。そして、いつか、巫女が女の子を生むと、その子どもに今度は疱瘡神が移る・・・。こうして、次々と疱瘡神は受け継がれて・・・今、この現代でも、その身体の中に疱瘡神を宿した女の子がいる、と言われているんだよ」
先生は、疱瘡神を受け継ぐ家は必ず『女』が当主になる。女から女に疱瘡神が受け継がれるので、その家では『女の子』が神様みたいに尊重される、と言った。
その瞬間、胸がドキッとした。
代々女が当主になって家を継いで、
女の子が神様みたいに尊重される。
それはまるで私の家の様子だと、思ったからだ。
もしかして・・・?
「きりーっつ!」
ぼんやり考え込んでいる間に、『民話語り』の時間が終わった。
若い男の先生が帰ってしまう。
私は弾かれたように席を立ち、先生を追いかけた。
ちょうど昇降口のところで、民話語りの先生が、担任の田中先生に送ってもらっているところで追いつくことが出来た。
「先生!・・・ひとつ、質問があるんですけど・・・」
下足に履き替えた先生が立ち止まり、私の方を見た。
「ああ・・・君はさっきのクラスの・・・?」
「こら、名越!」
田中先生が私を止めようとしたが、大丈夫ですよ、と先生が言ってくれた。
「質問・・・って?」
優しい顔を向けてくれた。私は息を大きくひとつ吸った。
「あ・・・えっと・・・さっきの『ほうそうしん』?のお話で・・・その・・・代々受け継いでいる家って、どんな家、なんですか?」
「ん?なんでだい?」
「あ・・・の・・・」
ちらっと田中先生の方を見る。
なんということのない、昔話だった。
ただ、『足玉』というものには興味を惹かれる。もし、本当にそんな神様の宝があるなら、お兄ちゃんの病気を全部治せるかもしれない。
そんな夢みたいなことがあればどんなに素晴らしいことだろう。
私は夢想せずにはいられなかった。
お話が終わった後、クラスのある男の子が質問をした。
「せんせーい!疱瘡神は完全にいなくなったんですかぁー!?」
「いい質問だ・・・。実は、疱瘡神は封印されただけで、いなくなったわけではないと言われているんだ。疱瘡神は、その巫女の体の中で生き続けていた。そして、いつか、巫女が女の子を生むと、その子どもに今度は疱瘡神が移る・・・。こうして、次々と疱瘡神は受け継がれて・・・今、この現代でも、その身体の中に疱瘡神を宿した女の子がいる、と言われているんだよ」
先生は、疱瘡神を受け継ぐ家は必ず『女』が当主になる。女から女に疱瘡神が受け継がれるので、その家では『女の子』が神様みたいに尊重される、と言った。
その瞬間、胸がドキッとした。
代々女が当主になって家を継いで、
女の子が神様みたいに尊重される。
それはまるで私の家の様子だと、思ったからだ。
もしかして・・・?
「きりーっつ!」
ぼんやり考え込んでいる間に、『民話語り』の時間が終わった。
若い男の先生が帰ってしまう。
私は弾かれたように席を立ち、先生を追いかけた。
ちょうど昇降口のところで、民話語りの先生が、担任の田中先生に送ってもらっているところで追いつくことが出来た。
「先生!・・・ひとつ、質問があるんですけど・・・」
下足に履き替えた先生が立ち止まり、私の方を見た。
「ああ・・・君はさっきのクラスの・・・?」
「こら、名越!」
田中先生が私を止めようとしたが、大丈夫ですよ、と先生が言ってくれた。
「質問・・・って?」
優しい顔を向けてくれた。私は息を大きくひとつ吸った。
「あ・・・えっと・・・さっきの『ほうそうしん』?のお話で・・・その・・・代々受け継いでいる家って、どんな家、なんですか?」
「ん?なんでだい?」
「あ・・・の・・・」
ちらっと田中先生の方を見る。

