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天狐あやかし秘譚
第47章 猪突猛進(ちょとつもうしん)

ダリが、心做しか憮然としているように見えるのは、それが原因のようだ。
必死に私の治療をしてくれたと、瀬良は言っていた。
『あないな天狐はん、初めて見たわ』
土御門も、異口同音に言う。
先程のきつい抱擁がやや照れくさかったのは、ダリも同じだったようで、彼は今、明後日の方向を向いている。でも、その尻尾がぴるん、ぴるんと跳ねていて、心の内が丸わかりだ。
もし、ダリがその超妖力であの場で即、治療を施していなかったら、
もし、疫病除けの護符を身につけていなかったら、
おそらく生命はなかっただろう、と。
「綾音さん・・・無謀にもほどがあります・・・。
助かったのは、奇跡ですよ・・・」
「ごめんなさい・・・」
色んな人に心配をかけてしまった。・・・急速に心苦しくなってきた。
「まあ、助かったんやし、ええやないの。
瀬良ちゃんも怖い顔しないしない!
あ、そうそう、多分な、綾音はんが助かった理由
もう一個あんねんで」
土御門が言う。
「もうひとつって?」
「ああ、あの疱瘡神な、多分、途中でちょっと瘴気を引っ込めた・・・思うんよ」
きっと、綾音はんの声、届いてたんとちゃうかな・・・
土御門は、そう言ってくれた。
あれ?そういえば、真白さん・・・。
「ダリ・・・真白さんと颯馬さんは?」
やっとなんとか立ち上がれるようになり、辺りをうかがった。今、私達がいるのは、先ほどまで戦いが繰り広げられていたところのすぐ近くのようだ。
真白も、颯馬も周囲には見当たらない。
もしかして・・・?
「ああ・・・あの者たちか・・・」
不穏な予感が胸をよぎった。やっと少し機嫌を直してくれたダリが、私の手を引いてくれる。ダリに連れられて、木立を抜ける。
そこにあったのは・・・。
「これ・・・って・・・」
夕日のオレンジに満たされた空間。
木々が吹き飛ばされ、円形に平地になった場所の中央に、それはあった。
巨大な水晶の柱だった。
キラキラと輝く水の結晶のようなそれの中に・・・
「真白さん・・・颯馬さん・・・」
服が引き裂かれ、ほぼ半裸姿をした真白と、颯馬が互いに慈しむように抱き合っていた。
必死に私の治療をしてくれたと、瀬良は言っていた。
『あないな天狐はん、初めて見たわ』
土御門も、異口同音に言う。
先程のきつい抱擁がやや照れくさかったのは、ダリも同じだったようで、彼は今、明後日の方向を向いている。でも、その尻尾がぴるん、ぴるんと跳ねていて、心の内が丸わかりだ。
もし、ダリがその超妖力であの場で即、治療を施していなかったら、
もし、疫病除けの護符を身につけていなかったら、
おそらく生命はなかっただろう、と。
「綾音さん・・・無謀にもほどがあります・・・。
助かったのは、奇跡ですよ・・・」
「ごめんなさい・・・」
色んな人に心配をかけてしまった。・・・急速に心苦しくなってきた。
「まあ、助かったんやし、ええやないの。
瀬良ちゃんも怖い顔しないしない!
あ、そうそう、多分な、綾音はんが助かった理由
もう一個あんねんで」
土御門が言う。
「もうひとつって?」
「ああ、あの疱瘡神な、多分、途中でちょっと瘴気を引っ込めた・・・思うんよ」
きっと、綾音はんの声、届いてたんとちゃうかな・・・
土御門は、そう言ってくれた。
あれ?そういえば、真白さん・・・。
「ダリ・・・真白さんと颯馬さんは?」
やっとなんとか立ち上がれるようになり、辺りをうかがった。今、私達がいるのは、先ほどまで戦いが繰り広げられていたところのすぐ近くのようだ。
真白も、颯馬も周囲には見当たらない。
もしかして・・・?
「ああ・・・あの者たちか・・・」
不穏な予感が胸をよぎった。やっと少し機嫌を直してくれたダリが、私の手を引いてくれる。ダリに連れられて、木立を抜ける。
そこにあったのは・・・。
「これ・・・って・・・」
夕日のオレンジに満たされた空間。
木々が吹き飛ばされ、円形に平地になった場所の中央に、それはあった。
巨大な水晶の柱だった。
キラキラと輝く水の結晶のようなそれの中に・・・
「真白さん・・・颯馬さん・・・」
服が引き裂かれ、ほぼ半裸姿をした真白と、颯馬が互いに慈しむように抱き合っていた。

