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天狐あやかし秘譚
第48章 月下氷人(げっかひょうじん)

ダリも土御門も、彼らが謎の男『緋紅』に足玉を奪われた時点で、真白は完全に疱瘡神に取って代わられた、と誤解していたのだ。なので、あの時点で疱瘡神の放っていた神力が、出力のマックスだと考えて戦略を練っていたわけだ。
つまり、あの程度なら、なんとか自分たちの攻撃で倒せる、と見越した上で攻撃を放っていた。
しかし、実際は違ったのだ。あの時点では疱瘡神は、その力を全て発揮していなかったのである。なぜなら、真白の人間としての意識がまだ残っており、そのせいで、疱瘡神は完全覚醒していない状態だったからだ。
『危なかったで・・・。もしかしたら、わいらの攻撃が、かろうじて残っていた真白の部分を吹き飛ばしてしまって、結果的に疱瘡神を完全覚醒させてしまったかもしれへん。そしたら、下手すりゃ潜在した全ての疱瘡神の力が一気に解放されてもうて・・・。そうなったら、わいと天狐はんの攻撃で、本当に倒せたか、わからんところやった』
可能性として、疱瘡神のフルパワーをダリと土御門の力が超えて、そのまま倒せた、という結末もあったかもしれない。しかし、倒せなかったかもしれないのだ。
そして、倒せなければ、あの時点での土御門とダリの残りの呪力・妖力では、その後の攻撃で倒すどころか、封印すら出来なかっただろうというのだ。それは最悪の結末だ。私達は全滅し、リミッターが外れた疱瘡神の力が壊れた結界から漏れ出して、その影響で起きたパンデミックで日本壊滅・・・という筋書きも有り得たのだ。
では逆に、疱瘡神が覚醒していないことに気付いていたとしよう。
『仮に気づいとったら、様子見したり、あれこれ封印を試そうとするやろうな。でも、そんなことしよったら、颯馬を守ろうとする真白との間で戦況はますます膠着してまう。そして、時間が経てば、今度は颯馬が死ぬ。そうなったらアウト。眼の前で颯馬が死ねば、きっと真白の意識も死んでもうたやろな』
真白の意識が死ねば、以下同文・・・、やっぱり日本は壊滅、というわけだ。
結局、私が無謀に突っ込んだことが全ての転換点だった、と土御門は言うのだ。
つまり、あの程度なら、なんとか自分たちの攻撃で倒せる、と見越した上で攻撃を放っていた。
しかし、実際は違ったのだ。あの時点では疱瘡神は、その力を全て発揮していなかったのである。なぜなら、真白の人間としての意識がまだ残っており、そのせいで、疱瘡神は完全覚醒していない状態だったからだ。
『危なかったで・・・。もしかしたら、わいらの攻撃が、かろうじて残っていた真白の部分を吹き飛ばしてしまって、結果的に疱瘡神を完全覚醒させてしまったかもしれへん。そしたら、下手すりゃ潜在した全ての疱瘡神の力が一気に解放されてもうて・・・。そうなったら、わいと天狐はんの攻撃で、本当に倒せたか、わからんところやった』
可能性として、疱瘡神のフルパワーをダリと土御門の力が超えて、そのまま倒せた、という結末もあったかもしれない。しかし、倒せなかったかもしれないのだ。
そして、倒せなければ、あの時点での土御門とダリの残りの呪力・妖力では、その後の攻撃で倒すどころか、封印すら出来なかっただろうというのだ。それは最悪の結末だ。私達は全滅し、リミッターが外れた疱瘡神の力が壊れた結界から漏れ出して、その影響で起きたパンデミックで日本壊滅・・・という筋書きも有り得たのだ。
では逆に、疱瘡神が覚醒していないことに気付いていたとしよう。
『仮に気づいとったら、様子見したり、あれこれ封印を試そうとするやろうな。でも、そんなことしよったら、颯馬を守ろうとする真白との間で戦況はますます膠着してまう。そして、時間が経てば、今度は颯馬が死ぬ。そうなったらアウト。眼の前で颯馬が死ねば、きっと真白の意識も死んでもうたやろな』
真白の意識が死ねば、以下同文・・・、やっぱり日本は壊滅、というわけだ。
結局、私が無謀に突っ込んだことが全ての転換点だった、と土御門は言うのだ。

