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天狐あやかし秘譚
第48章 月下氷人(げっかひょうじん)
「まあ、そうなのかもしれないですけど・・・」

ごにょごにょ・・・。私としては単に『真白さんと颯馬さんを助けたい』という、自分のわがままで勝手に突っ込んでいって、勝手に病気になり、ダリや土御門の足を引っ張った・・・という認識しかないのである。

おまけにダリにはものすごく心配をかけてしまった。

今も、無言でおちょこを傾けている。もちろん、不機嫌そう、とかそういうことはないのだが、なんとなくパッとしない表情をしている。

松江への車中から、ホテルに着いたあとに至っても、ダリは異常なまでに私の体調を気にかけていた。少しの段差があっても手を差し伸べたり、ちょっと考え込もうものなら『どうした・・・悪心か?』などと心配する。風呂に入る際には、大浴場の中にまでついてこようとするほどだった。(もちろん断った)

本当に、申し訳ない・・・と思っている。

私の目がダリを追い、すっと伏せたことで、心中がダダ漏れになっていたのだろう。土御門や瀬良がいつにも増してあれやこれやと話しかけてきた。

しかし、私もダリも最後まで浮かない様子で過ごしてしまう。

そんな感じで、なんとなく盛り上がらない夕食が終わると、すでに23時を過ぎていた。瀬良と土御門はそれぞれ部屋に戻っていく。瀬良が『私はもう一回お風呂に入るけど、綾音さんも・・・』と誘ってくれたが、私自身、大分身体が疲れている自覚があったので、そのまま休むことにした。

二人が出ていき、入れ替わりで仲居さんが入ってきて、お布団が敷かれる。その様子をぼんやりと見ていたのだが、ここでふと気づいた。

あれ?ダリは?

先程まで部屋にいたはずなのに、気づいたら消えていた。
ダリはトイレにいく必要もない。もしかして風呂か?とも思ったが、内風呂にはいなかった。一体どこに?

しばらく待っていたら帰ってくるかも、と思って待っていたが、10分ほどで限界に達してしまった。

ダリがふらりといなくなることはよくあることなのだが、先程までのあの尋常でない心配ぶりからの急な失踪は、私の不安を駆り立てるのに十分すぎるほどだった。

「どこに行ったの・・・?」
心配で居ても立ってもいられなくなった私は、部屋の内線に手を伸ばしていた。
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